映画「新聞記者」、去年公開された時に観て
「これ、全編にわたって画面の光の量で登場人物の立ち位置を示し分けてるのでは…!?」
と思って、その演出がとても面白かったんですよ。超親切設計。
というのを自分用のメモに残したままどこにも公開してなかったので、ここで公開します。
いや、これが本当にそういう演出意図なのかはわかんないんだけど、私にはこう見えたよっていう…
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【はじめに】
今回も鑑賞済みの方向けに書くのであらすじとかキャストとかは省略します。
必要なリンクだけ貼っておきますね。
ここから下はネタバレありの感想になりますのでご注意ください。
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【ざっくり光の量の表現まとめ】
○真実を暴くために動いている吉岡さんのシーンは光が多い
●真実を隠そうとしてる内調のシーンは夜だったり異様に薄暗かったりする
という分け方を全編徹底していて、これがストーリーの進行に合わせて次第に交差してく…というのがめっちゃわかりやすいし親切設計でした。
【光の量の表現 具体的に気付いたとこ】
・序盤のさつきさんの記者会見が笑っちゃうくらい不自然な光の表現で、あれで明確にこの演出の方向性を出してる感じはする
・あまりに暗すぎる会見会場で、さつきさんにだけ異様なほど明るいスポットライトが当たってるんだよね
・みんなが真実を見ようとしない、隠そうとしている中で、さつきさんだけが一人で真実を日の下にさらそうとしている、という表現
・杉原さんの出演してるシーンを追うのが一番分かりやすいと思うんだけど
・映画の前半では薄暗い場所にいた杉原さんが、
中盤になるにつれだんだん昼間のシーンが増えていく
・内調の中にいても杉原さんだけ光の当たってる場所に立ってたりする
・で、作中で一番強い光が画面に現れるのが、吉岡さんと杉原さんがとうとう引き出しの中身を開けて真実を知るシーン
・ここでもういよいよこの二人は真実を暴く方向に向かうんだな!とわかる
・北村有起哉演じる上司に話をするホテルでも、多分ほんとだったらカーテン全閉めで話するのがセオリーだと思うんだけど
・あれも「真実を暴く」ためのシーンだから光が多くてカーテンも開けてる
・でも終盤に多田さんに呼び出された杉原さんはまたしても薄暗い部屋の中にいるので、見ている側は「ゲエエ…」となる
・薄暗い廊下を発狂しそうな顔で重々しく歩く杉原さんと、真昼間の明るい屋外を必死な顔で全力で走る吉岡さんの対比
・最後に二人が対峙するとき、同じ屋外にいるのに、
吉岡さんの顔には光が当たってて、杉原さんの顔はそれに比べて光の当たり具合が弱いし、顔色も悪いし瞳も真っ暗…
・なんだけど、最後の最後、二人の目が合うシーン、杉原さんの瞳にかすかに光が入ってる
・「あ、また光が当たるのかも、もう一回この人も光を取り戻すのかも、いやどっちだ、どっちだー!?」
・ってなるところでエンドロール…
・なのであれは一種のインセプションですね…
【その他の演出】
・カメラの揺れは何を示してたんだろう。
・真実との距離かな〜と思ったんだけどどうだろう?
・まだ真実の端っこしか掴んでない吉岡さんや新聞社のシーンはずっと揺れ動いてて(画面酔いした…)、
真実の核心部にいる内調のシーンはカメラが固定されてる
・それが後半でやっと核心部分の真実を手に入れると新聞社のシーンが突然固定カメラになるのね…
・エンドロール後の音声、私は子供達の遊ぶ声に聞こえたんだけど
・あれが
「正義のもとに真実が暴かれ、子供達がのびのびと遊べる、嘘のない平和な世界」
の暗示なのか、
「杉原さんが多田さんの提案に頷いて、外国へ飛んで杉原さんの娘が平和に遊んでる」
の暗示なのか…
・どっちなのか1回観ただけでは判断がつかなかったな…またレンタルで観てみようかな~
・ともあれ、めっちゃ面白かったです。出てる人の演技もみんなよかった…