ポルノグラフィティ「Visual Album"暁"」感想

ポルノグラフィティの最新アルバム「暁」を映画館で爆音で浴びれるって聞いたらさ、そりゃ行くよね。チケット2日間ともとるよね。
私もそうした。チケット取ってよかったぜ!

もろもろの反応が出てて、「いいね~!」っていう声も「え~…」っていう声もあるみたいですね。

おそらくポルノグラフィティチーム側も、賛否両論巻き起こることをある程度予想はしてるだろうな~
(最後のコメントで「どうみなさんが受け止めるんでしょうか」と言ってたので)
とは思うので、みんな思ったこと言ったらいいのではなかろうか。
SNS時代だし。


というわけで私も思ったことを書き留めておくことにしました!

「面白い~!」って思ったとこと「う~ん…?」って思ったとこと両方あるので、分けます。読みたいとこだけ読んでくださいね。

まあそれはそれとして暁のMVを見てくれ。

youtu.be

 

◆面白い~!

【Zombies are standing out】
・ゾンビ新藤晴一が見れただけで「今日のチケット代全部元とった!!!!」って拳上げそうになった
・オタク、ポルノグラフィティが演技してるMVだ~いすき!
・最近メンバーがMVで演技してくれるチャンスが少なくなってたので嬉しかったです
・ゾンビ演技する新藤晴一~~!!!
・小さい女の子を怖がらせる演技をしたあとにすぐ照れてニカニカ笑って「大丈夫これ?」「俺ゾンビに見えてる?」とかやってたんだろうな…
・妄想もはかどりました
 
バトロワ・ゲームズ】
・ダンスがかなり曲に合っててよかった
・私は「ダンスができる人」「ダンスという文化そのもの」に対してじりじりした闇の嫉妬を抱いているので(理由は個人の話なので割愛)、
ポルノに限らずダンスをメイン表現としたMVには公平なコメントが一切できないんだけど
・でもバトロワ・ゲームズ、証言、暁と連続して見てみて、
「おお…確かにダンスの意図するところが違う…」
となったのでそれが面白かった
・高密度高クオリティのダンス表現とは対照的に、意図してチープに作られてる部分もあって、
その辺がカラオケでたまに出くわす謎映像みたいで面白くてよかった
 
【証言】
・証言は曲自体もすごかったんだけど、直前の
「リビングでマイク持ってたった一人のために歌ってくれる岡野昭仁の幻」
を見るシーン…
・破壊力が凄すぎて私が夢見てるのかと思った
・そんな映像表現あり!??
・たとえ幻だとしても岡野昭仁があの距離で一人の人間に歌ってくれるのマジで夢すぎない?どうやったらあの幻見れますか?
・物理的に胸を押さえながら見てた 信じられないほど夢みたいな光景だった…
・ちょっとキザなタイプとかグイグイ行く系のボーカリストがあの演出で撮影したら、お母さんに手を差し伸べたり何なら手を取ったりくらいしそうなんだけど
・行くか…行くか…!?と思わせて結局全編ただそばに来て歌ってるだけで、それ以上のアプローチの仕草はない
・そこがまたたまらなかった…
・俺たちの偶像、岡野昭仁
・あのシーンを撮影してくれてありがとう あれを見ただけで今回チケット2日間とってよかったなと思った
・地味に靴下姿で歌う岡野昭仁も本邦初公開じゃなかった?
岡野昭仁がおうちの中で歌ってくれると靴下姿なんだね…私も妄想の精度がまだまだ甘かったなと反省しました
 
【You are my Queen
・いろんな体型のいろんな顔やメイクのいろんなファッションの子たちが出てきて、
「いろんな子が誰しもクイーンだよ」
って言ってるイメージなのかな?
・私の中ではパパから娘への曲なので、
娘がこの先どんな姿かたちでどんなファッションの子になっても変わらずパパにとってクイーンだよ、
っていう感じにとらえられた
・最後その子たちが一斉に歌うのも、どんな子もパパの子どもだよって感じで
・のでさほど曲と乖離してる印象はない
 
・カラオケで彼女がメビウス歌ってるのにみんなノリノリだから「そんな風に盛り上がる曲か!?」って面白かったんだけど、
・でも途中から、
「彼女にとってはメビウスの歌詞通りの曲なのに、周りの誰も彼女の"こわれてしまった"悲しみを理解しない図なのか…」
と思えてきてそれはそれでしっくりきた
 
【ジルダ】
・「グッドミュージックがTikTokで受けてる」の表現だった
・みんなが自撮りして歌ってくれるの総SNS時代~って感じでよかったし、途中でHAPPY DOG TIMEが発生してたので大変喜んだんですけど
・「岡野昭仁が自撮りして送ってくれてる感じ」があまりにも夢のようで一人でキャッ…♡ってなってました
・ありがとうございました 私の中にいつでもいるリア恋の魂が救済されました
岡野昭仁は比較的照れもなくさらっとやってたんだけど、新藤晴一があからさまに照れながらカメラ目線で歌ってくれてるのも大変良かったです
・あなたが作詞したんですよこの歌詞!!照れるな!!
 
【ナンバー】
アウトローな男女の旅の話で、おいこら犯罪者ども!!!ってちょっとギョッとした
・最初はなんか行儀の悪い男女だな~程度にしか思わないんだけど、映像が進むと自然に犯罪行為が挟まる
・「あれ?あれ?」と思ってると、そもそも二人が乗ってるこの車自体が盗んだものでした(最初から犯罪者の二人でした)
・…っていうのが後半で明かされるのは、ショートムービーの作りとしては王道で、理解できる
・ただその後二人が因果応報的な感じにはならないので「は、犯罪者は取り締まれ…!」という気持ちにはなる笑
・治安悪い映画よく見てるせいもあって「この二人、人殺して逃げてるとこなんかな」とか考えたりもした
・それにしては生き生きと監視カメラに写ってたから多分人殺してはなさそう
・まあ家族とかからは縁を切られてそうではあるよね…目的地のない場当たりの旅って感じだった
・ラストでトンネルの前に長い倒木を置いて通行止めにして奥で二人で抱き合ってるシーン、なんとなく破滅的で暗示めいてるよね
・もうあの二人はまともな生活には戻れない、多分ずっと二人ぼっちなんだな
・ナンバーの歌詞を紐解いて解釈した結果作られた作品なのか、単に曲を聴いて(歌詞の内容はとらえずに)作られた作品なのか、ちょっと気になるなとは思った。
かなり難解な歌詞なので…
 
【悪霊少女】
・正直全然解釈しきれてないんだけど、2日連続でじっくり見てまずはようやく要素の分解ができてきた…
・左側に逃げる:父、縦長のひし形、ピンク色
・右側に逃げる:母、横長のひし形、グレー
・みたいな分け方してるよね?それが最後に女の子の目からピンクの涙が流れて、左右に分かれて逃げてた二つの女の子の姿が混じって、右側に逃げててピンク色がある
・でそれでも倒れこんだ女の子が顔を上げると、もう世界には何にもなくなってしまう
・どういう意味なんだろう…全然わからん もうちょっとかみ砕きたい…
 
【本人出演MVの配置】
・ファンの気を引くのはやっぱり本人出演MVだから、
映像作品としての構成を考えると、それをどう散りばめるか…
というのが鍵の一つだと思ってたんだけど
・序盤で結構シングルMVをじゃんじゃん使ってきたので
「もう持ち弾少なくない!??大丈夫!??あとフラワーと暁だけでは!??」
といらん心配をした
・戦略的に「最初にメンバー出演MVを惜しみなく見せて引き込んでおく」というのも有効打だよな…
と見ていて自分の体で実感しました
 
【間をつなぐショートフィルム】
・お父さんが病気ですっていうストーリーでフラワーをかけるな
・完全にお父さんとお別れなのかと思ったでしょうが!!
・お父さんが病気の宣告されたあとに暗闇で車を見て娘をドライブに誘うところ、照明の具合で妙に怖い絵面になっててそのままホラー展開に行くのかと思った…笑
 

◆う~ん…ってなったとこ

【間をつなぐショートフィルム】
・いくらMV主体の映像作品に添えるショートフィルムだからって脚本はちゃんと書いてあげてくれ~~~
・明らかに演者さんがアドリブで台詞喋ってる時間がいくつかあって見てて気になった…笑
・アドリブめちゃ強くて自然にできる役者さんをそろえるならともかく、
そうではないタイプの演者さんにきっちりした脚本じゃない形で渡して短時間でぱっと撮影するのは限界があるって…
・台詞がフワフワ浮いちゃってるあの感じを映像作品の味ととらえることはできるので、これは完全に私の好みの話です
・…と書いてはみたものの、今回のVisual Album周りの映像は鬼の2カ月納期で依頼されてたとのことで、そりゃそうなるわなという気もする。お疲れさまでした…

ポルノグラフィティチーム、2カ月納期で依頼すなという突っ込みはごもっともなんだけど、
アルバム完成してから半年かけて映像作品作ってればどんどんアルバムの鮮度も落ちるので、
最新アルバムのリリースにあわせてこういう形の作品を作るならそりゃそうなるわな(2回目)
 
【カメレオン・レンズの導入】
・いろんな人が突っ込んでるけど、歌詞やタイアップ先を考えたときに、
導入に父と娘のドライブを持ってくるのはだいぶミスマッチな感じはした
・ショートフィルムの導入でもっとも違和感があったのはここだったかもしれない
 
【家事分担の描写】
・2022年の映像作品で、
お母さんだけが掃除機かけるシーンが何度も出てきて、
食事をサーブするのもお母さんが床に膝ついてやってて、
お父さんはソファに座ってる
・というのは割かし「気、気を付けて~~~!!」という感想も持った…笑
・そういうシーンを映像作品として一切許すなという話ではなくて、
2022年にその表現を入れるならそれは選択的なもので、意図があって入れないと厳しいなと思う
・…というのを映像とか写真とかに携わってる人なら誰でも知ってると思うんだよね
・これと全く同じことやって炎上したCMあったし

・好意的に見れば今作に関しては「お父さんが病気だから」という理由付けを得られなくはないんだけど、
そこをエクスキューズとして作り手が意識してたかは結構怪しい
・意識せずにああなってるんだろうな~という感じがしたのが気になった
・国内のドラマ見てても未だにそういう表現を何も考えずに入れてる作品見かけるから、まあまだそういう作り手もいるんだなとわかってはいるが…
・ほんとに気を付けてくれ…ものづくりするなら…
 
ラブロマンスの表現】
・ポルノの歴代MVを考えると、今回は画期的といえるほどいろんな人種を出してたけど
・ここまでグローバルに作られると「メビウスクラウドとナンバー、全部若い男女のカップルだったな」というのが逆に目立つように感じた
同性カップルかせめて中年~老年カップルの描写があるともう少し違った印象かも?


◆まとめ

・全体、必ずしも「MV」ではなく、各クリエイターが映像作品の音楽にポルノグラフィティのこの曲を採用した…という感じで、これはこれで新鮮だった
・そもそもこういう形態の映像作品を見たことがなかった!
・こんなの今までなかったな。数分ずつの音楽に合わせたショートムービーをばらばらに作って、それを別のショートムービーでつなげるっていう

・昔横浜にショートフィルム専門の映画館があったんだけど、そこで見ていたショートフィルム作品を思い出す鑑賞体験でした
・ショートフィルムって映画ではあるんだけど、いわゆる90~150分の映画とは明らかにリアリティラインが異なる…
・MVも同じ特性を持ってて、映画でもない演劇でもない微妙であいまいな「現実っぽくなさ」が逆に映像の力になるのが面白い
・映画だと粗に見えてしまうはずの嘘っぽい部分(無理がある物語の筋とかファンタジックな演出とか)が、
ショートフィルムやMVだとなぜか成り立つし、作品の独特の世界観を補強してくれる
・個人の好みとしては、前半のゾンビやバトロワ・ゲームズ、証言を歌う幻の岡野昭仁
…あたりの「現実っぽくなさ」を全編貫いたものが見てみたかった笑
 

◆終わりに

2日間見て、とりあえず感想をざーっと書き出してみました。
ツイートのまとめみたいなもん。
 
私はツッコミ入れたい部分もありつつ、たまたま「面白い鑑賞体験をしたな」と思えたけど、
それは私が映画館によく行くタイプのオタクで、まあまあ年齢も重ねてて、ポルノグラフィティのファン歴もそこそこ長くて、小劇場演劇でハズレを引いたりする経験もあって、漫画のおかしな実写映画とかもいやこれはこれで~と楽しめるタイプで…
みたいな複合的な理由もあるので、
今回のVisual Album見て「え、合わない…」となる人がいるのもふつーーーに自然なことだと思う。
だからもしこの記事を読んでくれた人で、そういう感じで「こんな受け入れられないの自分だけかな…」って思ってたら、どうか凹まないでくれ…
ぜんぜんそんなことないし、そういうの言っていいし、大丈夫ですよ!!
「こういうのあんま好きじゃなかったです~」と公式に感想送っていいし、
私も世間で受けてる映画見て「あ、合わない…!」と思ってそれきり触らなかったことあるし…笑
 
こうやってリアルタイムでポルノグラフィティの「今までなかった動き」をみんなで体験して思い思いに騒げるの楽しいね。
いつかこれも思い返して泣くんだろうな…
と激重オタク仕草が出たのでこの記事もしめます。
ありがとうございました!面白い鑑賞体験でした!