「TENET」ネタバレ感想/綺麗に反転する世界

クリストファー・ノーランの作品が好きなのでずっと楽しみにしていた「TENET」。

コロナの影響で一時公開日が未定になったこともあり、ハラハラしましたが遂に観に行くことができました。

今回は先にネタバレなしの感想を書いて、次にネタバレありの感想を書きますね。
最初に言っておくと、分析とか批評ではなく「面白かったよね~!」的な感想文です。

 

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【はじめに】

今回も鑑賞済みの方向けに書くのであらすじとかキャストとかは省略します。

必要なリンクだけ貼っておきますね。

 

wwws.warnerbros.co.jp

 

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【ネタバレなしの感想】

すごすぎてわかんなかった。

ノーラン作品は「フォロウィング」から「ダンケルク」までだいたい履修してるんですけど(「インソムニア」だけまだ観てない)、
今まで観てきた中でダントツでわかんなかった。

●TENET観る前
メメントインセプションインターステラーダンケルクも初見でわかるように親切設計されてたから大丈夫でしょ」

●TENET観てる時
「何が起きてる?????」

●TENET観終わった直後
「何が起きた?????」

●TENET観終わって10階分くらい非常階段降りた後
「てねっとのぱんふください(両目グルグル)」

↑こんな感じだった。目回ってたのは非常階段グルグル降りたせいですけど。

今までで一番難しかったどころか段違いだった…
ノーラン検定3級は持ってる自負あったんですが、「TENET」はノーラン検定2段持ってる人向けではないでしょうか。
それとも私がノーラン検定3級持ってるのは錯覚だったんでしょうか…

本当は最速で金曜に観たかったのですが、どうしても初見IMAXを譲りたくなくて少し出遅れたんですね。
そしたらネットでうっかり断片的な情報をいくつか見てしまって、

「やっぱり早く観に行くべきだったかな~予測できちゃったよ~!」

と後悔もしたんですけど、
私が予測できてた展開はせいぜいコップ1杯分くらいなもので、映画全体の情報量がナイアガラの滝みたいだったのでそれどころじゃなかったです。よかった。

 

ネタバレなしの感想だとこんなとこ。
ここから下はネタバレありの感想になりますのでご注意ください。

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「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」感想/私たちは何を観に映画館に行ったのか

ドラゴンクエストの幅広いファン層のうち、「まあまあ軽いファン」くらいの人間としてこの映画は観に行っておくべきだろうと思っていましたので、公開されてすぐに行きました。

「たとえ私の解釈と違う物語やキャラクターを見せられたとしても、すぎやまこういち先生の曲を映画館の音響で聴けるならそれだけでお金を払う価値がある」と。

見終わるとどうしても記事を書かずにはいられなくなったので、自分の気持ちの整理用に書いておくことにします。

 

以下、「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」(2019)の重大なネタバレを含むので注意してお進みください。
できるだけ、以下に当てはまる人だけが読んでください。

 ・この映画を観た 

 ・この映画を観ようかどうか迷っていて、ネタバレを見てから判断したい

 

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【はじめに】

今回も鑑賞済みの方向けに書くのであらすじとかキャストとかは省略します。

必要なリンクだけ貼っておきますね。

 

dq-movie.com

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【感想の要点まとめ】

冒頭に要点だけまとめます。

吉田鋼太郎のゲマが本当にゲマだから、それだけでも観る価値がある

すぎやまこういち先生の曲が映画館の音響で聴けるから、それだけでも観る価値がある

・戦闘シーンの魔法や剣術でかっこいい瞬間がいくつもあるから、それだけでも観る価値がある

ドラクエ5を好きな人、ゲームや創作物が好きな人にとってものすごくショッキングで侮辱的なシーンがあるから、
それだけでも上の3つの良さをすべて諦めて観るのをやめる理由になる

以下はだらだら感想を書いているので時間がある人だけ読んでください。

 

今回の「ユア・ストーリー」について、特にそのラストが賛否両論と既に言われていますが、
(私が見る限り賛否両論というより賛否否否否否否両論って感じだけど)
このラストを許せるか否か、ありかなしかでほとんどの評価が決まってしまうと思う。

気持ちの整理用なので思いついた順に書くね。

 

【よかったところ】

とりあえずよかったところを箇条書きする。

●とにかく音楽が最高!!!
すぎやまこういち先生の曲をありったけ使えるのは映画としてかなりのブーストだよな…
音楽は一応天空シリーズを中心に使ってたと思うので、個人的にはあまり違和感なかったです。
ゲーム本編だって8以降は過去作の曲わざと使ってるし、映画作るなら許容範囲かなと。

ビアンカとフローラ問題
うまい物語処理してるなと思った。
フローラのキャラクターがよく生かされてて、納得しやすい運びだと思う。

●シナリオの取捨選択
原作の壮大な物語を100分ちょっとに収める脚本として、要素の取捨選択はそこそこ的確というか、合理的だと思った。
グランバニアの王族であることに一切触れないとか、出てくる土地はできるだけ絞って背景の作画コスト削減するとか。
双子が双子じゃないのは悲しかったけど、妹出しても100分の尺では空気になるだけだから仕方ないのかな…

●パパスの悲しさ
パパスが悲しかったな…
ゲーム本編のときはやっぱり主人公に感情移入してるから「お父さんが死んじゃった」ショックが大きかったけど、大人になって映画として見ると、

「愛するマーサを連れ去られて最後まで彼女に会えないまま、生きている彼女を助けられないまま死んでいく」

というパパスの無念がやるせなかった。
山田孝之の演技もすごく物語への思い入れが感じられてよかった…さすがドラクエ5ファン…

●過去に戻ってオーブを取り換えるシーン
パパスの声がしてそっと岩陰に隠れながらも向こうを見ようとするリュカ。さらっとしか描かれないんだけど切なかった。

●マーサの最期
「あなたに一目会いたくて生きながらえてしまいました」と言ってこと切れる。賀来千香子さんの説得力素晴らしかったな…

●ゲマ
とにかく出色の出来で、もうほとんど吉田鋼太郎だと忘れていた。
笑い方も喋り方も何もかも、「ゲマがそこにいる!!」って感じだった。キャラデザとも怖いくらいにぴったりだった。

ミルドラースの声
突然異物として侵入してくる感じ、井浦新さんの異質さがとても合ってた。
あのミルドラースをそもそも許すかどうかはおいといて、純粋にキャスティングとしては評価されていいと思う。

●アルスが天空の剣を抜く
一番テンション上がったのはやっぱりアルスが天空の剣を見事に抜くシーンだった!
あそこで序曲がかかって高らかにファンファーレが響くの、

「あ~~~~これこれ~~これを観に来たのよ我々は~~~!!!」

って感じで鳥肌が立った。
つるぎに対するツッコミはすでにいろんなところで言及されているので省略。

ギガデイン
最終決戦で先陣を切ったリュカが少しやられかけてるところに、閃光のように飛び込んできてバッタバッタ敵をなぎ倒し、ギガデインをぶっぱなすアルスも

「よかったうちのパーティに勇者がいて~~~!!!!」

っていう安心感が半端なかった。
ドラクエ5は「自分が勇者ではなかった」人の物語だから、あの「勇者が持つ絶対的な強さ、安心感」を客観的に受け止められるのが醍醐味なんだよね~。
それが見事に表現されてたのが素晴らしかったです。

●床ドンバギクロス
同じく最終決戦のリュカvsゲマで、追い詰められたリュカが地面にバンと手を置いてバギクロス唱えるとこもいい。あれも痺れた。

ブオーンが萌えキャラ
大変よかった。かわいい。

 

【ん? と思ったところ】

●スラりん
今回なぜスラりんに山寺宏一を連れてきたのか途中までまったく分からなかったんだけど、デウスエクスマキナだったからなんだね…スラりんエクス山寺宏一…(?)

●キャラクターの「ニヤッ」
山崎貴チームの手癖なのか分からないけど、登場キャラクターの多くが判で押したように同じ表情でニヤッと笑うのが気になった。
カテゴリーで言えば、ディズニーのラプンツェルでフリンライダーがするようなワルい笑い方なんだけど、
あまりに多くのキャラがその笑い方をするので結構見ていて飽きると言うか、

「またその顔? なんでみんな笑い方が同じなの?」

と思って集中力をそがれた。

●出しっぱなしベギラゴン
メラゾーマばんばん放出できるビアンカくそ強ええ~~~と思ったけど、ブオーン戦でベギラゴンぶっぱ継続しながら逃げるのすげえなと思った。すぐMP尽きそう。
実写版「鋼の錬金術師」でもマスタング大佐の炎が「火炎放射器」って突っ込まれてたけど、ちょっとそれ思い出したな…

●一撃で終わる敵討ち
ゲマに切り込んでいくリュカが、かつてパパスをいたぶった仇2匹を何の情緒もなく一撃で切り捨てていくのもちょっと笑った。
めちゃくちゃレベルアップしたんだなとは分かるけど余韻も何もない。

ビアンカの呼び方
「おまえ」呼びはちょっとびっくりしたかな…
幸宮チノ先生の「ドラゴンクエスト 天空物語」の夫婦のイメージが強かったので。
でも喧嘩するきょうだいみたいな関係性なんだろうなとは理解できた。解釈は合わないけど。

それでいうとヘンリー王子に敬語使うリュカにもちょっと衝撃だったな…これは完全に4コマ漫画劇場のせいだけど(笑)二人が対等に喋ってるイメージを持ってた…
この辺は小説版ではどうなってるんだろうか。未読なのでわからない。

 

【解釈が合うかどうか】

私はドラクエ5の主人公が推しなので、観る前から一応不安はありました。
ただ、好きな作品のリメイクに昔より寛容になったので、大丈夫なような気もしていた。

昔の私だったら実写版「鋼の錬金術師」を許さなかったかもしれないが、2017年の私は全然許せたし…

「今回はこんな感じの主人公なのね」
「でも私にとっての原作主人公は揺るがないもんね」
と落ち着けるとは思っていた。

本当に、割と「エモければ多少の粗は許す」くらいのユルい観客なんですよ普段は。

 

一応、ラストを知らないで観ていた私は、

「このリュカ大馬鹿野郎だな」(フローラに求婚しといて翌日撤回すな)

とかいろいろ思ってはいたけど、まあこういう解釈のキャラで映画を作るのもよかろう。くらいには思っていました。

ただ、リュカの喋り方にところどころ違和感はあった。後から考えるとその違和感こそが伏線なんだけど。

 

【ラストへの伏線】

というのも、一応あのびっくりラストは突然ではなくて、きちんと伏線が張られている。
たとえばこのあたり。

 ・大人になったリュカが山小屋を訪れた時の「つーか、さみっ!」の呟き
 (リュカを含めた今までの登場人物たちの喋り方に対して妙に現代的で浮いている)

 ・おばあさんからもらった薬で「リュカのほんしん」に潜っていくときの画面
 (精神世界という割にはデジタル処理っぽくて唐突)

 ・マスタードラゴンとの「ロボット? 合わなくないですか?」「今回はそういう話らしい」のメタ発言

ただ、「伏線張ってあるからフェア」って言えるかと言うとそうでもないんだよな…

 

【ラストの乱暴さ】

まず確かなのは、ミルドラースがあの世界のCG処理をどんどん剥がしていくシーンが、私にとってひどくショッキングだったということ。

小学生男子の私の前に魔法使いが現れて、

 魔法使い「好きな女の子は誰?」
 私「○○ちゃん!」
 魔法使い「じゃあもっと○○ちゃんのこと知りたいよね?」
 私「うん!」
 魔法使い「ほーら見てごらんこれが○○ちゃんだよ」

っていきなり目の前で好きな女の子人体解剖された感じだった…

 

そもそも、「現実世界だと思って見ていたものが実はVRでした」オチというのは特に目新しくはない。
そのうえ微妙に公開時期が「HELLO WORLD」に近いのもまた痛手だなと思う。上映前の予告編でこれかかっちゃってたもんな…

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それでもこの映画で、この2019年に、ドラゴンクエストでこれをやる意味があるのか?
という疑問に対して、正直なところ私は答えが見つからない。

問題になってる山崎貴総監督のインタビューも、「オチを思い付いたから使おうと思った」くらいに読めてしまうし…

mantan-web.jp

 だが、劇場版アニメの成否をも左右するような、ラストシーンのあるアイデアを「思いついてしまった」と山崎総監督。そこで初めて「映画にする意味」も見えたといい、「同時に、キャラクターの開発を始めました。で、作るならどういう世界観かと試しているうちに、だんだん情が湧いてきてしまい(笑い)、『これならやれるかもしれない、いや、やりたい』となった」と経緯を語る。

実際には彼はオファーを受けた(しかも一度は断った)側なんだろうけど、作品を観たドラクエのファンとしてはどうしても

「なんでこれをドラクエでやったの? オリジナルでやればよくない?」

と思ってしまう。

 

メタなネタをぶっこんで来た近年の某マーベル原作映画(どれとは言わない)と同じように、ある意味

物語を消費しているのはおまえらだ

と突きつけられたわけだけど、
マーベルがショッキングなようで丁寧に緻密にやってくれた一方、「ユア・ストーリー」はかなり乱暴だったな、というのが正直な感想。

観ているとき本当にショックで背筋が冷えたし、大好きなゲームをバキバキ音を立てながら無遠慮に解体されているようで、
「やめてくれやめてくれ」ってリュカじゃなくて私が叫びだしそうだった…。

 

【仕掛けは成功? 失敗?】

このショッキングさが、物語の仕掛けとして"成功している"ことになるのか、
不快感を与えて"失敗している"ことになるのかは分からない。
あくまで私個人の感覚で言えば、あれを「成功」とは言ってほしくない。

 

というのも、「実は虚構の世界でした」をやるならもっと違う解答を出してほしかったから。

神殿の皮を剥いで、ビアンカを真っ白なCGにして、ファミコンのソフトにふーふー息を吹きかけるシーンを挿入して、
あんなにショッキングな見せ方をしてまでその展開をするなら、今までに見たこともない言葉や選択で新たな展開を切り開いてほしかった。

 

ところが、主人公の言葉は

「ゲームの中のこいつらは確かにいたんだ」

「あの日夢中になって遊んだ日々は本物だった」

という程度で、
もう今までのアニメ漫画小説映画、ありとあらゆる「世界は実は虚構でした」系作品で使い古されてきたアンサーでしかない。
それが一番のがっかりポイントだった…。

 

実はVRでした~~~ピッピロピ~~~!!オチが悪いっていうわけじゃない。
VRオチを使ってまで言いたかったことが今更それかよ」っていう陳腐さが解せないのだ…

意地の悪い言い方をするなら、

VRオチを使わずに、ストレートにドラクエ5を映画化する自信がなかったんだな」

ドラクエ5という作品の力を使わずにオリジナルでVRオチを作る自信がなかったんだな」

という分析をされても仕方ないと思う。
それくらい、ドラクエ5でこのオチを使う意義が感じられなかった。
あまりに着地点が陳腐すぎて。

 

ドラクエを物語るドラクエ

かわいそうだなと思うのは、シリーズ最新作であるドラクエ11で既に

ドラゴンクエストを物語るということ

というテーマに迫っていたこと。
しかもそのテーマに対してメタに振り切らないまま、「ドラゴンクエスト」の枠の中で「ドラゴンクエスト」を見事に総括してくれていた(と私は感じた)。

だから11をプレイした後に見ると余計に、

「え、今それ?」

「"ドラクエ"が"ドラクエ"を物語るのはもうやったよね? しかも本編で」

「ていうかこのオチをドラクエでやる意味ある? 別のゲームでも成り立つ話じゃない?」

と強く感じてしまった…。

 

【終わりに】

観た直後はどういう気持ちになっていいのか分からなくて、
面白かったと感じたのか、感激したのか、ものすごく腹が立ったのか、悲しかったのか、自分でも判別がつかなかったんですが、
その後ご飯食べようとしたら思いっきり食欲が失せてたので

「あ、ショックだったんだな」

と自覚しました。

 

気持ちの整理をつけるためにこの記事を書きましたが、
一方でアルスの鮮やかな戦闘シーンとか、高笑いがぞっとするほど怖いゲマとか、かかる曲かかる曲すべてが美しいすぎやまこういち先生の名曲たちとか、
「もう一回観たい」と思わせる要素がいくつもあります。
ただ最後の20分は絶対劇場から出るけど。

まだ観たばっかりで混乱しているのかもしれませんが、いずれ「またあのシーンが見たいな」「あの曲がかかる瞬間を見たいな」と円盤を買う日が来るのかもしれません。
ただ最後の20分は絶対再生止めてエンドロールまで飛ばすけど。

 

以上です。
正直、上映前の広告でかかった「星のドラゴンクエスト」実写CMを100分見てた方がよっぽど良かったんじゃねえかとは思っている。

【ネタバレ】ポルノグラフィティ「UNFADED」@三重県営サンアリーナ 3/16,17感想

■16thライヴサーキット「UNFADED」2019/03/16,17■


ポルノグラフィティ20年目のアリーナツアー「UNFADED」、静岡2daysの記事をこちらで書きましたけど、

honemiru.hatenablog.com

三重2daysの感想も後々の自分のために残しておくことにします。

ていうかこのブログ、本当に自分のために書いてる記事ばっかりだな…

大体のセトリのこと+横浜初日でのドーム公演発表で気が狂ったことは上の記事で書いたんで、三重での特筆事項を箇条書きしていく感じです。2日間ごちゃまぜ。

よし書くぞ!
未来の私ー!! 2019年のポルノグラフィティもマジで最高だぜー!!!!

_______

 

【全体のこと】

・三重2日目、最終日だけあって岡野昭仁がリミッターを外すとこうなる」みたいな歌い方しててもはや恐怖さえ感じた…
・いやいつもリミッター外しがちな人だと思うけど、ここまでブチ切れモードなの久しぶりに見たなと思って…

・昭仁さんの声量の凄まじさにはもういちいち言及しないけど、今回ハーモニカの力強さにまた新鮮に胸を打たれた
「ハーモニカ割れる」って思った(やがて哀しき語彙のなさ)

・アリーナ14列目正面から見た昭仁さん、「愛が呼ぶほうへ」くらいのルックスに見えてなんかタイムスリップしたような心地だった
・2018年しまなみロマンスポルノでサボテンを歌うときもめちゃくちゃ若く見えてやっぱりタイムスリップ感あったな
・いつものことだけど、昭仁さんはやっぱりスクリーンで見る印象と肉眼で見る印象が全然違って見える…

・三重最終日のハッシュタグは「アンフェイデッド?」でした。
・答えは間違いなく「アンフェイデッド!」だよ…

【ヴィンテージ】

・ヴィンテージ、やはりテンポゆっくりでアレンジ効いててすごくツボだった

・と思ってたんだけど、後でWOWOW見るとヴィンテージのテンポさほど原曲と変わらないように思えるんだよな。なんだ?私の気のせいか?

【Swing】

・Swingの歌詞のドライさ、実は結構えぐいと思うんだよね…

・結構なにもかも捨て置くというか

・「君を忘れてしまおう」「帰ってこなくていいよ」とか、
晴一さんならもうちょっと未練や情を書きそうな気もするところを、昭仁さんはちょっとぞっとするくらいドライに書くところがある

【前夜】

・前夜、いつも歌詞を聴くと不思議な気持ちになる

・晴一さんも昭仁さんも、40過ぎてからでも全然10代の気持ちを詩にできる人なんだけど、
晴一さんは物語の登場人物を心の中のいろんな引き出しからスッと出してきている感じ、
昭仁さんは誰かが乗り移って書いた感じ…と思う

・9.9㎡でも同じことを思う。不思議な作詞家だよ二人とも

【ビタースイート】

・ビタースイートのセンスフル照明、何度見ても天才の発想でしかないし、語彙力0の私は脳内でずっとインベーダーゲームって呼んでた

【フラワー】

・フラワーがなぜ「降り積もる雪の下」で泣けるのだろうと思ったけど、あの一文が2つの世代をつなぐたった1つのフレーズなんだね

・フラワーは1番からずっと一輪の花のことを歌ってるんだけど、

長い眠りが近づいていることを知って 小さな種を地面に落とした

大サビで終わりがほのめかされて、ここからギターソロの間に多分この花は枯れて=死んでしまうんだよね

・落ちていく花びら、種を落としたお花は死んでしまって、この部分は新しい次世代の話に移ってる

春には氷を割って 新しい景色に出会う

・で、そこへの橋渡しになってるのがこの部分

降り積もる雪の下 閉ざされた世界で
どんな夢を見ているのだろう

・これが多分、最初に歌ってたお花と、次世代のお花のどっちにもかかるようになってると思う

・地面の中、まだ見ぬ新しい景色を知らない世代が、雪の中で見る夢はどんな夢か

・次世代に命を繋いで長い眠りについた前世代が、雪の中で見る夢はどんな夢か

・…という二重のフレーズなんだな、とこのライブでやっと気づいたのでした。新藤先生、ありがとうございます…

【オー!リバル】

「顔が大事なんよ」コーナー、スクリーンには晴一さんの良すぎる顔が大写しなので横浜以降は毎回そっち見てたんだけど、
三重でアリーナ前方の席が取れた結果、昭仁さんがわざわざ晴一さんの顔を覗き込みに行ってはやし立ててるのが初めてわかって大爆笑した

・そりゃ晴一さんも笑うわ!!!

 

【タネウマライダー】

・タネウマライダーにはめちゃくちゃ思い入れがあってですね…

・私が初めて参戦したポルノのライブが2006年横浜ロマンスポルノ キャッチザハネウマなんですけど、それのオープニングナンバーがタネウマライダーなんですね

・大好きなポルノグラフィティのライブにやっとやっと初めて来られて、嬉しくて楽しみで胸がいっぱいな中で、
ついにあの「ピイイィ~~~~!!」のホイッスルと共に晴一さんのギターが唸ったあの瞬間ったら……

・つまり死ぬ前に「あの瞬間に戻りたい」と願う瞬間ベスト3の曲です

・なので全力で笑って手を全力で叩いて、全力で心の中で泣きました

・まあ本人たちには
人でなし
「ロックバンドたるもの『人に眉をひそめさせる曲を』と作ったけど、時が流れて40代の俺が眉をひそめてる
と散々な言われようの曲でしたけど

【メンバー紹介】

・最終日はみんな一言ずつ喋ってたんだけど、「何か一言!」と振られた須長さんが、またしてもスーーーを伸ばすかと思いきや「めっちゃ楽しかったです」など普通のコメントだった

・昭仁さんが「いつスーーーが伸びる!?来るか!?来るかー!??」みたいな仕草で待ち構えてたのに全然出てこなくて、最後ずっこけるリアクションをしていたのが面白かった(笑)

【ライラ】

・ライラははっきりテンポ変えてたよね!
・ゆっくり始めて最後はめっちゃテンポ上げられるように
・キー変えはあったけど、テンポわかりやすく変えてるのは初めてだったのでは?と思う
(ネオメロとか瞳の奥とか、ガラッと変えるアレンジを除く)

・三重1日目、多分この曲で岡野さんが
「手拍子倍(真顔)」
ってクールに指示して観客全員が即座に倍にする瞬間があって、なんかえもいわれぬ感情に襲われた…
・か、かっこいい…岡野昭仁様…

・でも2日目は
「ここから手拍子倍!(笑顔)」
って明るく楽しそうに言ってて、なんなのあの人何重人格あるの

・「プリヴェート!」とかの合いの手、やっぱり三重最終日は予想以上に観客の声がでかくて(笑)

・昭仁さんが笑って「すげえ!」って言ってたのが多幸感溢れてよかった

優しさ無限大の大天使全世界を支配下に置く絶対王を反復横跳びするの、脳が混乱するからやめてほしい(もっとください)

・昭仁さんの夢を語るシリーズ、結局私たちに
岡野昭仁の好きなもの、やりたいこと、夢見てること」
を教えてくれるボーナスタイムだったんだなって今は思っている

・好きな人の好きなものを知りたいものなんだよ…私たちっていう生き物はさ…

・それにしても、「いつかきっとライラを聞いて泣いてしまう日が来るんだろうな」と思うと胸が張り裂けそう

・「UNFADEDの最後、ライラでみんな一緒に手拍子して歌って笑ってはしゃいだな」っていうのを、いつの日かCD音源のライラを再生して
「歩き疲れたら帰っておいで」
のところで思い出して、うわーーーーって泣くんだろうなって

・そんなことを今から想像して泣きたくなるくらいにこの曲が好きになってしまった(激重オタク仕草)

【Century Lovers】

・みんなでカーテンコールのご挨拶中なのに、例のいたずらっ子スマイルで一人だけ機材に向かい、センラバの「FuFu」を覚束ない感じで演奏し始める新藤晴一

・この人ほんとに…人を喜ばせるのが本心から好きなんだなーという笑顔をしてて、愛おしさ無限大になってしまった

・昭仁さんの「おれさっきので最後だと思ったんだけど…(困惑)」っていうのが本当に出し切った後の声になってて笑った

・後からレポートで読んだけど、ここ昭仁さん「みんな(帰りの時間)大丈夫?」って観客に言ってたらしいですね

・一曲でも長くみんなと楽しい時間を過ごそうとしてくれる晴一さん、
お客さんの帰りの時間を心配する昭仁さん、
どっちも優しさが大気圏突き抜けてて祈りを捧げてしまうな…

【カーテンコール】

・二人が久しぶりにハグして(PURPLE'S以来?)みんなでいぇーーい!!完走おめでとーーー!!!ってなった後、大拍手の中で晴一さんの顔が一瞬スペースキャットになってた

・後ろのお嬢さんたちが「晴一さんwwwww」って笑ってたのが忘れられない

・そのあとすぐにいつもの顔に戻って元気な生声挨拶を聞かせてくれました。本当におつかれさまでした…!!!

____

 

…というような感想を3月の時点で既に書いてたんだけど、記事にまとめそびれてたんだよね。というわけでまとめました!

今書いてる時点でもう神vs神まで3ヵ月切ってるわけですよ。どうしたらいいんですかほんと。

ポルノ展もあるしさ…新曲も発表されたしさ…もう!!!楽しみがいっぱいだよ!!!!はーーーー20周年イヤーの集大成見届けさせてもらいますよ!!!!

まずは新曲が楽しみだーーー!!!!

実写版「アラジン」(2019年)感想/ディズニープリンセスという価値の解体は進む

大好きなガイ・リッチー監督が実写版アラジン撮ったっていうんで見てきました。面白かった!!!

相変わらずアクションも画面の作り方も気持ちが良かった。
ネットで見かけたガイ・リッチー監督が起きてるところと寝てるところがある」っていう評の意味がちょっと分かって笑ったけど…笑

以下、「アラジン」(2019)ネタバレを含むので注意してお進みください。

 

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【はじめに】

今回も鑑賞済みの方向けに書くのであらすじとかキャストとかは省略します。

必要なリンクだけ貼っておきますね。

www.disney.co.jp

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今回見てて一番おおっ!!と思ったのが、

「ディズニーによるディズニープリンセスという価値の解体、今度はこう来たか!!」

ってところだったんです。

塔の上のラプンツェル」以降、ディズニーによる上記の価値解体は特に顕著だなと思いますが、
今回のアラジンはまた新しい角度から行ったな!! と新鮮で驚きました。

たぶん本当に詳しい人がもっとちゃんと書いてると思うんですけど、
ディズニーにわかファンにもちゃんと刺さったよ~~というのを書き記しておこうかなと思ったので、記念に自分で書いておきます。箇条書きで。

ディズニープリンセスという価値の解体】

・どこでそう思ったかっていうと、「ジャスミン自らが国王になるところ」っていうよりは、
ざっくり言うと「今回の"ディズニープリンセス"=アラジン」っていうところで…

・「閉鎖的な場所で不自由さと共に暮らしている女の子が、善なる隣人に助けられながら、力や強い意志を持った男の人と愛をもって結ばれ幸せになる」 
というのが、「シンデレラ」とか「美女と野獣」で描かれてきた原始的なディズニープリンセスの姿だとすると、
今回アラジンの描かれ方はまさにそれだったと思うんだよね

・アニメ版のアラジンがジャスミンと結ばれるとき「愛する人も手に入れ、権力も手に入れる」という図が成立するんだけど、 
今回はジャスミンが国王だから、アラジンは別に国の最高権力を自分の手中に収めたわけじゃなくて… 

・ずっと「コソ泥」「ドブネズミ」と呼ばれてきたアラジンは現状からの脱却を望んでたけど、
「国王になって国で一番えらくなってやる! みんなを見返してやるんだ!」
という野心があるわけではない 

・架空の国の王子だっていう嘘を続けようとしてジーニーをがっかりさせた一瞬でさえ、あくまで「ジャスミンと結婚したい」っていうその一点で動いてるんだよなー 

 

・だから2019年実写版「アラジン」の、アラジンという人物のストーリーは、メインの軸がこの3つ
 1.不自由な生活からの脱却
 2.自分を助けてくれる善なる隣人との友情
 3.愛する人との恋の成就

・最後にアラジンが国王にならないというただその一点で、「国の権力者に成り上がる」の軸をしっかり消してるんだよね…

・というのが、最後のふたりの結婚式を見た時に急に分かった。あーーこれプリンセスの位置だったんだ!!!って 

 

・最後に幸せそうに笑うアラジンは、コソ泥だった自分が王族になれたから笑ってるんじゃなくて、
大好きなジャスミンと結婚できたから笑ってるんだなーっていうのが分かって、そこが好きだなと思ったんです 

 

・アニメ版が権力の話だっていう意味じゃなくてね!!!

・アニメ版もラブな話だしヒューマンドラマな話ですよ… 

・アラジンサクセスストーリー感とか、アラジン主人公感が失われちゃったのを残念に思う人もいるからな~ 

 

・でもほんとに、 
アナと雪の女王」で「王子様ではなく家族との"真実の愛"で幸福を手に入れるプリンセス」、 
「モアナと伝説の海」で「民のために海を渡り、友と一緒に戦って世界を救う女の子(プリンセスではなくヒーロー)」 
を描いてプリンセスの価値解体を進めてきたディズニーが、 実写版アラジンで

「アラジンをディズニープリンセスの位置に置く」

という解体方法を取って来るとは思わなくて、すごい新鮮で楽しかった。

・ラストで気付いた時のああー!!!感が忘れられないな… 

・多分「シュガーラッシュ」シリーズでもプリンセスの価値解体が行われてると思うんだけど、今のところ未履修なのでまた見たら書きます。

 

ジャスミンのこと】 

・「ジャスミンは一貫して自分の意思で、人の力を借りずに行動して夢を叶えてるから、アラジンいらないのでは?」とか、
ジャスミンがもともと意思のある成熟した女性なので、魔法のじゅうたんのシーンで一気に自由に目覚める感動はちょっと薄れたかも」という感想も見かけたけど、
私はディズニーのロマンチックなラブさがちゃんと残ってるな~と思った

私は売り物じゃねーんだよとド正論で突っぱねていたジャスミンにとって、
一番欲しいものっていうのはイケメンな王子でも金でも宝石でもジャム(笑)でもないし、
多分この時点では誰かからのアイラブユーでもなくて、 

「この国で暮らしている民の姿や自然の風景を思う存分目にすること」 

だったわけで、アラジンは見事に彼女の本質を見抜いて一番欲しいものをプレゼントした 

・そして彼女の夢を聞いて、

「僕の意見が必要?(君自身の意見があれば他の誰かの意見なんか必要ない)」

と一言添えられたアラジンは、きちんとジャスミンの心に花を贈ることができたのだ…ロマンチックでござる

 

・今回描かれたジャスミンという女性の新しさ、力強さについては、もうめちゃくちゃいろんなところでしっかり論じられてると思われるので割愛します
・この作品で一番泣けたのがお父さんとの和解のシーンだった。あのシーンは待ち望まれていたと思う

 

【その他、かわいかったところ】 

・ギフトの説明するのに
「えーとあとは…めっちゃおいしいジャムもあります…芋とかのジャム…これはめちゃおいしいジャムで…もうすごいおいしい…」
って説明するアラジンに一番笑った

・ジャムから離れろ

 

・アラジンの恋バナをきくジーニーの両手頬杖シーン、もうめっちゃジーニーと友達になりたいと思った…

ジーニーとアラジンの友情、アブーとアラジンの友情にもぐっと来たけど、
まさか最後はアブーとじゅうたんの美しき友情にすっ転ばされるとは…か、かわいすぎるでしょ

 

・ダンスのキレがよすぎるアラジンの中の人、何者なんだ…

・初めて見たけどすごく好きになった。操られてダンスする動きがうますぎる

 

・噂のジャスミンとダリアのコンビも最高にワンダフルでしたね

・ダリアの「よっしゃあああ!!!」のポーズに同調したり「早く行って来い!!」ってするジャスミン、めちゃいい友達で泣いた

ガイ・リッチーが女子校を撮れる監督だとは知らなかったよ。すげー女子校だったよあの空間

 

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ざっくりとした感想を無秩序に箇条書きしましたが、結論とても楽しかったです。吹き替え版も見てみたいな~。

【ネタバレ】ポルノグラフィティ「UNFADED」@静岡エコパアリーナ 12/15,16感想

■16thライヴサーキット「UNFADED」2018/12/15,16■


ポルノグラフィティ20年目のアリーナツアー「UNFADED」、最高でしたね。全人類行ったよね?
三重県営サンアリーナ2daysに参戦して見事に屍になった私です。

 

で、ネタバレ解禁になったので…
いまさらですが静岡エコパアリーナ2daysのライヴレポートです。

嘘です。感想文です。
個人的に書きたいことだけ、というか吐き出さずにいられなかったことだけ書いてるのであまり内容はないです。すみません。
ライヴの内容がどうなってたかは既に色んな所で詳細なレポートが読めると思いますのでそちらをお読みください!!!

もともと、静岡参戦した直後に書いた文章です。ネタバレ解禁になった記念に、当時を振り返る形に修正してブログに投稿します。

 

***ここからライヴあんまり関係ない話***

・ツアーの初日行くの初めてだったので、ネタバレ気にしなくていいってなんて快適~!とまずその感覚に感激
・その分自分がネタバレしないように気を付けないと…と思っていた

エコパアリーナ着いたのが開場1時間前くらい。売切れは勿論あったけど、全然並んでなくてスムーズにグッズが買えてありがたかった。スタッフさん寒い中ありがとうございます…
・開場までの間は周囲に点々と佇む歴代ナビゲーターキャラたちの写真を撮影して時間を潰せる。ぼっち参戦にも優しいシステム
・明らかに人気なキャラ(フラッディとサイあたり)と知名度があまりないキャラ(工事の人とか)で列の差があった…笑

・入場時の指定席発券も思ってたより全然スムーズ
・いつも会場で配布される手提げ袋の中に、今回なぜかグッズチラシが入ってなくて、入場口近くの長机にドンと束で置いてあるチラシを好きに取っていくスタイルだった。初日うっかりもらい忘れたので2日目にもらいました
・ツアートラック探すの忘れた~!と思ってたら2日目めちゃめちゃ分かりやすいところにツアトラ置いてくれててスタッフさんの配慮に感謝

***ライブあんまり関係ない話ここまで***

 

【客いじり】

・キューブ教官、5年で出世してキューブ教頭に!
・「筋肉は裏切らない」のスローガンを何度か叫ばされる
・早口言葉を言わされるお客さんたち。
 「赤アキヒト黄アキヒト青アキヒト」
 「黒ハルイチハルイチハルイチ(?)」
 「裏庭には二羽、鶏のアキヒトがいる」
 「隣の客はよく蘊蓄を喋るハルイチ
 「一緒にいるマネージャーの目が死んでいる」
 「マネージャーかと思ったら、オーラのないアキヒトだ
後半ただの悪口で爆笑

・係員さんいじり、今回は「ゾンビの真似で仕事して」と「ゾンビの真似サボったな!罰としてその場で踊って」だった
・2日間とも係員さんがばっちり踊れる人で感動した。U.S.A.とかPerfect Humanとか踊ってた。最近の若い人は咄嗟に踊れるからすごい
・最後はまた宇宙船に乗って帰っていくキューブ教頭。ちゃんと奥様(フラッディ)も乗ってました

 

【イントロダクション】
・ジャッ!!!ジャッ!!!ジャッ!!!ってスリリングな音と紗幕使った謎めいた照明で、周りがザワザワして「怖い…」「なに…?」「怖……」って半笑いの声が聞こえてきました。私も思った
・楽しみすぎて怖いってことです…全然予想付かなくてすごいドキドキした

 

オレ、天使
・これで始まるのぶったまげました
・バックスクリーンがシンプルでかっこよくて、今年見たブルーノ・マーズのステージ演出と同じような「か、かっこいい…!!」って衝撃…今回ほんと演出が凄まじくかっこいい

 

【A New Day】
・背景のCGがほぼ実寸に見えるように作ってあって、SFチックな街中で演奏するポルノって感じがしてワクワクした

 

【幸せについて】
・久しぶり!!いつも「幸せの種を手に入れた」のところですっげー気持ちよくなる。曲に合わせた作詞の展開が巧みすぎ

 

【序盤MC】
・昭仁さん「昔の曲もやったことない曲もやるけど、それに今日という色をつけてくれたら…」
晴一さん「おっ!初日からイイの出たね!」
PURPLE'Sの「わしら流の第九じゃね!」の時を思い出してほっこりしました

 

【東京ランドスケープ
・これ聴けたの嬉しい…リリース時よりさらにずんと腹に来るサウンドになってる
・「弱者の群れを迎えるパレードになれ」がほんと好き。「僕は弱者」と歌った一番からこの展開よ…昭仁さんの作詞のこういうところが好き

 

ジョバイロ
・05年当時まだファン歴も浅くて、少ない録画をひたすら見返してたから、ジョバイロでガバッとギター持って歌う昭仁さんと、後ろで民族音楽演奏家みたいに黙って目を閉じて弾く晴一さんの図を見ると、初恋を思い出したような心境になる
・これ晴一さんがエレキ弾いてたってレポで読んでびっくりした。全然気づいてなかった!!次は絶対注目して聴こう…
(追記:↑こんなこと書いてたのに、忘れてた。WOWOWでチェックします)

 

【ヴィンテージ/Swing】
・ヴィンテージ、アレンジめちゃ良かったね…!?ちょっとテンポ落としてたよね!?より大人っぽくて味わい深かった、まさにヴィンテージになる…
・私は昭仁さん作曲の裏拍系が大好物です

・で2日目にヴィンテージ替えてSwing!!!!ハァ!!!???
・まさかSwingを日替わり曲にするなんて思ってなくて膝から崩れ落ちかけた。Swing!!!!初めて生で聴いた!!!!
・あの、あの無念のポカリスエットライヴから…あのときからずっと…君に会える日を…待ってた…
・日替わりにするならサウダージをMアワにするとか、そういうメジャー曲だと思ってたんだよ…!!

 

【前夜】
・めちゃめちゃいい曲で聴けるの楽しみにしてた
・昭仁さん、歌に負けず劣らずなんて雄弁なハーモニカ…力強くて美しくてひたむきで…
・初日、いつハーモニカ出したのかわからなくて手品かと思った。昭仁さん手品師だったのか
・2日目はポケットから出す瞬間が見れました

・2日目、イントロで昭仁さんが舞台袖に向かって
「イヤモニのあれの音量下げて」
みたいな指示を流れるような動作で飛ばしてて、それがばっちり正面スクリーンに抜かれてた。珍しいんだけどやたらかっこよくて震えた

 

【ビタースイート】
・キー下げたビタスイ、渋くて渋くて渋い…たまらなかった。ビタスイだけじゃなく今回低音の効き方がいい
・上下に動く照明が舞台に垂直に刺さっててかっこよかった

 

【ライオン/DON'T CALL ME CRAZY】
これが日替わるなんて思うか!!??どうかしてるよUNFADED(褒め言葉)
・DCMC、長く鋭い照明の光が客席中にビーム飛ばしててめちゃかっこよかった

 

【Zombies are standing out】
・ひたすらすごかった。今回一番楽しみにしてたんだけど、ライブでこんな感じなんじゃないかと膨らませてた想像の500倍はすごかった
・なんてパワーのある楽曲なんだ…!
・っていうのはもちろん、バックスクリーンのビビッドなゾンビ映像と照明がまた出色の出来で、否応無しにトランス状態になる…

 

【小鳥の囀り~弾き語りMC】
・昭仁さん「前のツアー来てくれた人はわかるかもしれないけど…小鳥が鳴くとわしが一人になるんじゃって。」
・昭仁さん「わしは全く望んでないんですけど(小鳥を)
・小鳥が鳴くと現れる歌うたいのあきひとさん。わかる(わかる?)

・昭仁さん「こないだは森だったんだけど、今回の背景は…何じゃろねこれ。CGの予算を削減されたんですね(笑)いや冗談だけど〜」
とか言ってて笑った
・でもその後、舞台横のモニタ(ちょっと小さめ)がオフになって、ステージ上の大スクリーン2画面をでかでかと使って昭仁さんが映し出されたので納得しました
・予算削減ではない、「CG背景を映すより大きな画面で岡野昭仁を見せた方が客は喜ぶ」という的確な分析だ…

・今回のセトリはどの曲もそうだけど、弾き語りコーナー2曲は特に息を詰めて「何が来るんだ!?」ってドキドキした
・通常ならイントロ少し聞いて判断するけど、弾き語りだと昭仁さんの発する一言目でいきなり歌詞がわかるから…

・昭仁さんが足元に置いた水が倒れちゃったのを、素早く出てきてきちんと置き直したスタッフとだかさん
・「フフッ(笑)おれが倒しちゃった水をわざわざ立てに来てくれたね。ミスターとだか!」と紹介して拍手を誘う昭仁さん。
・ササッとハケていくとだかさん、忍者のようだった

・後で気付いたんですけど…
2005年のツアー「SWITCH」DVDに収録されてるドキュメンタリー「SGを使おう!」で昭仁さんがギター弾きながら「とだかー!」って呼んでて…あのとだかさんなのか!!?
(SWITCHを経典のように見続けたせいで、ドキュメンタリー映像を台詞のように覚えてしまっているオタク)

 

【見つめている】
・ワンコーラスのみではありましたが、強烈な印象を植え付けてくれました
・今の岡野さんが「何考えてんのわし?」っていうの、椎名林檎さんがデビュー当時に「新宿系とは…」って語ってるのを最近になって「(当時の自分が)何を言っているのかさっぱりわからない」ってばっさり切ってたのと似てて笑った

・若い頃は一点をじっと見つめて歌うアキヒトさんが怖かったそうですが、今の優しい愛情に満ち溢れ穏やかな岡野さんが落ち着いて弾き語りしてくれると、それはそれで
「めちゃめちゃ温厚でいかにもいい人そうな男性なのに本性がアレ
って想像ができてまた怖いです

 

夕陽と星空と僕
・弾き語りバージョンが聴けるなんて…本当に完成された曲だなあと改めてウルウルしてしまった。岡野さんの歌い方もより磨きがかかってて、名曲とはこのことだなと
・2日目はキー半音下げた?いや…?って曲中ずっと気になってたんだけど、私の耳では結局判断できなかった。
・原キーだった…?初日はまったく気にしてなくて原キーだと思い込んでたんだけど。初日と2日目でキー変えるとも考えにくいし、そうだとすると初日から半音下げで歌ってたのかなあ。全然気付かなかった

・「あの夕陽にも星空にも僕の想いは乗せられない」
の一文がこんっなに悲しいんだ、って改めて頭をがーんと打たれた。今回のセトリで一番ショック受けたのがこのフレーズ

・失恋して誰とも会えなくて、一人で歩道橋に立ってぼーっと遠くを見てる「僕」。
綺麗な夕暮れに対して「君への想いは太陽と共に沈んで行け」って願ったのに、ぼーっと見てるうちに太陽が沈んでいって星が瞬く頃になって、ようやく「あの夕陽にも星空にも僕の想いは乗せられない」って気づく。
「僕」は本当にひとりぼっちで、この想いは誰とも共有できないし、見ている景色もそれを背負ってはくれない

・そんな風にひとりぼっちだけど、それでも「素晴らしい愛があるはずだから」ってところに行き着くのがすごい歌詞だよ
・そこに行き着くならむしろ夕陽にもっと希望を抱いたり、行き交う人に共感を覚えたりしそうなのに、今の「僕」は徹底的にひとりぼっちのまま、でも「いつかは」「どこかで出会える」という言葉が出てくるんだなあ…
(※私は「歌詞を文学的に読み解いて聴く」という点において耳がザルなので、10年以上聴いてる曲に対して「そうかこれそういう意味だったのか!!」とやっと驚くことがよくあります。ごめんなさい…)
・本当にいい曲だし切ない曲だな…

 

【didgedilli】
・この曲、改めて聴くとすっごく晴一さんらしいというか、新藤晴一という人の人となりがすごくよく表れてるように思えて今回さらに好きになった
・彼の持つスター性とか、ルックスを含めたギタープレイの華やかさとか、繊細な歌詞を書けるのに本人の精神はいい意味で根明なところとか、ファンの需要を分析して理解してるところとか
・とにかくいい曲、賑やかで華やかでかっこよくて盛り上がる。元気出るわ

 

【カメレオン・レンズ】
・満を持して客席上方のライトがついに起動、何本もの光が垂直に下りたとき、アリーナはでかいダンスホールに変貌した。ひれ伏しました
・映像でリズムに乗れて踊りやすくていい…

・リズムを示す映像エフェクトが明るいブルーで、この曲というとMVの薔薇やリンゴの赤のイメージが強かったから意外に思ったんだけど、2番入って遅れて気づいた。ブルーバードか!!
・それも「君の空に放した青い鳥」だから、深い青ではなくスカイブルーなんだ…

 

【海月】
・CGすげーよかった…あれずっと見てたかった…
・カメレオン・レンズと海月は音楽のリズムをそのまんま映像エフェクトで出しててトリップ感が心地よかった
・CDよりさらにズンズン低音が響くので、「ポルノがこんなに踊れるライヴするなんて知らなかったろ!?」って見知らぬ誰かの腕を掴んで引き摺り込んでやりたかった(妖怪?)

 

【フラワー】
・海月で太古から続く生命の物語を語った後に、小さく気高く咲く一輪の花のお話。完璧な導入
・CD音源だとかなりアウトロに尺とって、音が消えてくのも少し長めに入ってると思うんだけど、ライブでも終わった後一瞬本当に静寂があって、そこから拍手が起きてた。聴き入ってました

 

【オー!リバル】
・MC挟んでここからギアチェンジ、終盤戦。新藤さんのギターが鳴った瞬間何の曲かわかって歓声
(追記:静岡2日間では晴一さんの「このギタリスト、天下一顔がいい」コーナーはまだ生まれてませんでした。横浜で初めて見て笑っていいのかキュンとしていいのか恋に落ちていいのかツッコミ入れたらいいのか大混乱でした)
・フラワーの後だったので「なるほど業火の向日葵…!!!」って客席みんな腑に落ちてました。雨風に負けぬ強さと弱さを持つ一輪の花から突然燃え盛る生命力

 

【ジレンマ】
・本編セットのジレンマ…!!
・普段ジレンマってもうライブ終わって欲しくないのと最高に楽しいのと飛び跳ねてるのとで訳わかんなくなって曲そのものを味わって聴く姿勢がなかなかできないんだよね。それももちろん最高だけど!!
・でも前回のFCUWしかり、こうやって本編でやってくれると、ジレンマという楽曲がそもそもいかに高度なことをやってるのかわかってひれ伏してしまう…タマちゃん…新藤さん…

 

【パレット】
・このツアータイトル聞いた時から信じてたよ!!!やってくれるって!!!!
・これまた映像美をふんだんに使っていた。綺麗だった〜
・最後のちゅるちゅっちゅっちゅ〜♪で多幸感とともになぜか切ない寂しさをくれる不思議な曲だよね、メジャーキーなんだけど…メジャーキーだよね?

 

サウダージ
・はい伝家の宝刀〜〜〜
・何回聴いてもアウトロのギターソロが素晴らしくてタオル噛みちぎりたくなってしまう
・言葉を尽くした歌詞だけど、言葉のないギターソロが最もドラマチックなメロを任されてるんだよね。この話は別のところで書きます

・今回割と素直なアレンジというか、原曲に近い状態だったと思うんですけど、どうでした…?
・ある程度マニアックな選曲をしてる分、サウダージやハネウマといった有名どころはオリジナル音源に近づけた真っ向勝負って感じがした

 

ハネウマライダー
・しまなみライビュと同様にスクリーン使ってエンドレスヘイユーしてたので笑ったんだけど、何で昭仁さんあれが映画館で大ウケだったこと知ってるんだ…?笑

 

【MC】
・昭仁さん(初日)「ここまで20年やってこれた秘訣はとか聞かれるけど、それは別に自分たちのことではなくて。君たちがいるからです。ポルノグラフィティ二人の絆みたいなものだけではなくて、みなさんが待っててくれるから…」
・てっきりいつもみたいに「別に絆とかそんなんではなくて(笑)」とかいうのかな?と思ったから、昭仁さんが「絆だけではなくて」って絆ありきの話し方をしたことにちょっとびっくりした。すごい!!なんか大人!!
・と思ったら2日目で「絆があるとかそんなんじゃなくて」に変わってました。やっぱり…笑
(追記:その後、やっぱり「絆はまああるっちゃあるけどね?」的な方向に落ち着いたみたいなので良かったよ…笑)

 

【∠RECEIVER】
・この曲で本編を締める終わり方、ホンッッットこの1年ならではだったな。災の一文字が象徴してしまう2018…
・「それでも逃げないRECEIVERでいたい」と歌うポルノグラフィティ…2011年以降ならまだわかるかもしれないけど、晴一さん2010年にほんとすごい歌詞を書いてたね…

・もちろん、この曲がラストに選ばれた意味は歌詞そのものにあると思うんだけど、ここ数年でいつのまにかバキバキに上達してしまった昭仁さんのハーモニカも、この曲が選ばれた要因の一つなのでは…?
・と思えるほど、やはりハーモニカが雄弁だった。特にアウトロ

 

アンコール

【Hard Days, Holy Night】
・1日目『♪すぐに帰ってきて!』「帰っちゃうっ」
・2日目『♪すぐに帰ってきて!』「帰ろっかな?」
・キュンとしました。全人類の彼氏、岡野昭仁

 

【MC】
・突然喋れと言われた須長さん「初日でとても緊張していたのですが、こんなに温かく迎えてもらえて…ものすーーーーっごく楽しいです!!」
(拍手)
昭仁さん「す、長っ!笑」
須永さん「(笑)」
昭仁さん「……あ、須長だけに!す、長っ!」
須長さん「(笑って頷く)」
昭仁さん「急に振ったのに、ちゃんと…すごいね!」
・昭仁さんがまんまと策略にはまってキレーにツッコミしてしまったのがめちゃめちゃ面白かった

・1日目、メンバー紹介で昭仁さんが「ギター新藤晴一!」って言っちゃったからファンが「ハルイチ〜!」コールできなかったんだけど、2日目は直ってた!
・というのを本人も意識したのか、2日目無事にコールされた新藤さんがニッと笑って自分を親指でグッと示して「俺、ハルイチ!」と名乗ってて面白かった

・晴一さん「もし19年やってこなかったら、今誰も聴かない誰も演奏しないものになっていたはずの曲たちが、今日こうやってライブでできるのは幸せなこと」
・という話の中で、2日目は「例えばサウダージくらいのときに俺が昭仁と殴り合ってやめてたら…」とジョークを飛ばしてた
・殴り合ってなくて良かったよ…笑

 

【ライラ】
・2日目、曲の前に「ちょっと待って!」とわざわざ止める晴一さん
・「初日のこの曲のダメ出しは、笑顔がない!だから。笑顔になる曲らしいから。みんな笑顔でね!」と言い出した晴一さん
・結局、曲中のソロ終わった後に「あなたが一番笑顔ないわい」「何を真面目な顔でソロ弾いとんのよ」と昭仁さんから突っ込まれてた

・ライラ、各パートのソロで2日目はいろんな曲弾いてた。皆川さんが残酷な天使のテーゼだったのは覚えてるんだけど、他の人が何弾いたのか…知ってるメロディだけど頭でパッと曲名が出てこないまま次に行っちゃうから…(;▽;)

・「粘ついた唾を吐き捨てるみたいに…」から始まる長ゼリフ、ミュージカル俳優岡野昭仁の生演技だー!!って思ってなんか楽しかった(私だけです)
・「夢があるとすれば…」からご当地ネタが挟めるとは全く思いもよらなかった。お見事グラフィティ
・2日目の方がご当地ネタ語りが長かったので、後ろでずーっと伴奏してくれてる晴一さんが「今日長いな!笑」とツッコミを挟んでた
・今後どんなネタが挟まれていくんだろう…


以上、静岡2daysの感想でした。
初日ってもっと荒削りな部分があると思ってたけどめちゃめちゃ仕上がっててビビった。何なの?ポルノグラフィティ怖い…(まんじゅう怖い)
それでいて、3ヶ月後に横浜でまた観るときにはさらに新しい驚きをくれるんだろうな~!!と期待してしまう。楽しみです!!あと5,000回観に行きたい!!!!

-------------

【追記】

と、期待していた私だった。
その後、横浜1日目でさらなるブラッシュアップをされた演奏にもちろん圧倒されたわけだけど、
その日のアンコールで東京ドーム2daysの発表をされ、人生で自分でも聞いたことがない叫び声を上げながら「人間ってこんな金切り声出るんだな」と自分にびっくりしました。

マジで、驚きと興奮が一気に押し寄せると人ってギャーって言うんだね。漫画だけかと思ってた。ありがとうポルノグラフィティ、あなたたちはいつも私の知らない私に出会わせてくれるね(主に理性を失った状態の)

そんなこんなで静岡のライヴ感想文でした。この後三重県2daysに参戦してまた気が狂ったので、その話も今度します。

「ファースト・マン」感想/デイミアン・チャゼル監督、ポルノグラフィティのリスナーでは?説

推しを推しすぎて正気を保てないオタクです。こんにちは。

ブログ記事1つ目がこんなアホ全開タイトルになるなんて、幸先がいいな~~!!と思うことにしました。

重度のポルノグラフィティオタクが書く「ファースト・マン」感想記事です。

 

本気で言ってるわけではないので怒らないで聞いてほしいんですけど、映画観終わって出てきた感想が

デイミアン・チャゼル監督、ポルノグラフィティのリスナーだったんだ………」

だったので、記念に書き残しておこうと思います。

(※「記念に」:気が狂ってて後から読むと笑えそうだから)

 

以下、「ファースト・マン」ネタバレを含むので注意してお進みください。

核心には触れてませんが、部分的に「インターステラー」の話に触れてます。ネタバレ一切見たくない方はそっと避けてくださいね。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

【はじめに】

普通のブログならこの辺に「ファースト・マン」のあらすじとか監督とかキャストとかが書いてあるんですけど、本記事は鑑賞済みの方向けに書くので省略します。

必要なリンクだけ貼っておきますね。

 

必要なリンク、といえばもう一つあります。

私は「ラ・ラ・ランド」でデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングに精神をタコ殴りにされ映画館で灰になったことがあるので、

ファースト・マン、題材は気になるけど…劇場で観る勇気がなかなか出ないな…」

と思っていたのですが、こちらの動画が出た瞬間に劇場に行くことを決めました。

推しギタリストであるポルノグラフィティ新藤晴一さん。

おかげで一瞬で「劇場で観ま~~~~す!!!」になりました。配給会社さん、超ありがとう。

 

【本筋と関係のない感想】

最初にライトな感想だけ箇条書きします。

あ、史実をきちんと調べてないので、本記事ではあくまで「ファースト・マン」という映画の中のキャラクターとしてニール・アームストロングを扱います。

 

・観終わって、「すごい怖いジェットコースターに4~5回乗った」みたいな感じの虚脱感に襲われた……

・よくニールの顔のアップが出てくるので、「ライアン・ゴズリング、白目も綺麗だな…」とか思って精神を保とうとしていました

・1秒1回以上のグルグル回転のシーン、あまりにしんどくて気が遠くなりそうだった

・回転が止まったあとのシーンで「ライアン・ゴズリングのバッサバサ睫毛が光に透けるの美しいな…」って呆然と考えましたね
(だいたいゴズリングの顔面の美しさで気を紛らわせている)

 

・「しんどい」という感想は聞いてたんですけど、まさか泣かされると思ってなかった。最後の10分でべろべろに泣いたんですけどどうしてくれんの?

・まあ見てて100分くらいまでの感想は宇宙旅行、マジのマジで絶対に嫌」でしたけど

・だって怖すぎるから

・「なんでそんなボロボロのガタガタのハリボテみたいな箱で宇宙に行こうとしたの?」って肩揺さぶりたくなるくらいに宇宙船がいちいちボロボロだった

・それが劇中で爆発するし墜落するし…

・「もうやめて…人類…生き急ぐな…あと20年待っていい…」ってひたすら念じてしまった

・上の動画見返したら、晴一さんこの映画の鑑賞後に「機会があれば月にも行ってみたいし」とか言ってる。正気か?

・私この映画「月に行ってみたいなんて寝言二度と言えねえようにしてやるよ」ってねらいで作ってるのかと思ったよ前半60分間くらい

 

・絶望シーンはいっぱいありましたけど、火花が起きて酸素に燃え移ってあっという間に火事になるシーン、最後が引きの画面なのが本当に怖かった

・誰も見ていない蓋の向こうで、ばっと強い光が上がってもうそれっきりっていう…

・その事故の報告を電話で受けるニールのシーンもまた圧巻でしたね

・「君たちを矢面には立たせない。いいね?」
 「……ええ」
 「……OK?」
 「……………………OK」
OKを言うまでの間が長え~~~!!
全然OKじゃねえんだよって感じがひしひしと伝わってくる。分かります私たち観客も全然OKじゃないです

・そして受話器を置くまでの時間がまたな、長え~~~~~!!

・やっと受話器を置く音がしたと思ったら、それとは別のガチャンという音がして、何かと思ってニールが下を見ると、右手はグラスを割り血が滴っている

・このシーケンスが完璧すぎる


・月に行くことが決まったシーン、子供たちの成長が泣かせますね

・お兄ちゃんがそっと母の背中に触れ、「どうしたの? 何かあったの?」と尋ね、「外で遊んできていい?」と自分から申し出る…

・何かがあったとき「外で遊んでなさい」と言われてきたシーンや、放送を聴いている母の背中にタオルを当てて怒らせるシーンが、ここでこんな風に変奏されるとは…

・そういえば、夜の道を同僚と歩くニールが、ジャネットにさえ話さないカレンのことをなぜ口にしたのか…

・なかなか意味深いシーンでしたね。あれももう1回か2回見ないとわかんないな

 

・「妻のジュエリーを持っていくよ」という言葉がバズから出たのに対して、ニールは何を持っていくのか。荷造りのときに子供の歯ブラシでも入れてんのかな? と思ったら…

・「ジャネットと踊った音楽」を持ってきていた…

・本当にロマンチックでぐっと来たしジャネットに教えてあげたかったしニールおまえ顔がライアン・ゴズリングなのやめてくれ(「ラ・ラ・ランド」で精神をボコボコにされた民)

 

以上、とりとめのない箇条書きでした。ここからはテーマごとに分けます。

 

【映画最大の謎:なぜニールはそこまでして月に行こうとするのか?】

観客はほぼ全員「紆余曲折あれど、アポロ11号は月面着陸と帰還を成功させている」という知識を持ってるから、映画としてクライマックスをどこに持ってくるのかが気になっていました。

もちろん、色んな困難を乗り越えて、人類が月面にやっと足を置くシーンは感動なんだけど、この映画のクライマックスはそうじゃない。

ニールたちが月面に降り立って、スクリーンにカレンが映った瞬間、

この映画の最大のミステリーは「なぜニールはそこまでして月に行こうとしたのか」だったのだ

というのが最後に分かる仕掛け……
に見えました。
(※私が勘の鈍い観客であるというのも原因)

 

いや、普通に見てても

「なんで…? なんでこの人一回も『うわ怖…やっぱ宇宙行くのとか正気じゃねえかも…』ってならないの?」

とは思うから、別に隠されたテーマってことではないんですけど!!
ただ、わかりやす~い形の出題をしてない。

 

めちゃめちゃわかりやす~い台詞を作るなら、ジャネットから

「どうしてそこまでして月になんか行きたがるの! こんなに死人が出てるのに!」

などと聞かれたのに答えないニール…

なんていうシーンを作れば、

「ああ、この映画のキモ(最後まで引っ張られる謎)は、“なぜニールは月に行きたがるのか?”なんだな」

と100人中100人が分かると思うんだけど、そういうのはしてない。そんな簡単に見せたりしない。

その謎が解かれるときに、私たちはやっと、それがそもそも最大の謎であったことに気付く。
渋い作りで好きだな~と思いました。

 

【「内省的」なクライマックスで、ニールが見たもの】

クリストファー・ノーラン監督が本作を絶賛して「この映画の意義深さは、しばらく正当に評価されないのかもしれない」と言った話、全体通してのことだろうけど、やっぱり一番は月面シーンのことなんじゃないかなと思う。
theriver.jp

星条旗立てるシーンがないのは全く気付かなかった(史実に疎すぎる)けど、一観客の私も同じことを感じました。
これは人類の偉業を人類の偉業として描いてるんじゃない、ある男の個人的な体験の話なんだなって。
映画として明らかに、ニール視点の映像が多かったし。月面着陸する時の足元を見る画面とか、宇宙船の扉を閉めて笑顔で見送ってくれるスタッフを見上げる画面とか。

 

で、帰還後のニュースで流れる台詞。

「未来の人たちにはわからないかもしれない。月に初めて辿り着いた彼らは、何かを“見た”のだ」
(↑うろ覚えなので、DVDで見返したときに修正します)

これ、拡大解釈ができるよなとも思いました。

 

ニールが月面に立って、月の地平線を見ながらカレンのことを思い出すという本作のクライマックス。

素直に解釈すれば、
「ニールはもともとカレンのことを想うために月までやって来た、
だから月に来てカレンのことを回想している(スクリーンにカレンの映像が流れる)のだ」
という話だと思うんですが…

もしかしたら「本当にニールの目にはカレンが見えた」のかもしれない、と思わせるのがこの「何かを見た」のアナウンス。

人類の誰も到達したことのなかった月面に初めて降り立ったとき、ニールの精神や心や魂といわれるような部分に、1969年の科学では説明できなかったこと、もしかしたら今2019年の科学でも解き明かしていないことが起きたのかもしれない。

そして彼は、時間や空間を超えてカレンの姿を見たのかもしれない。

と、ちょっと想像を拡張できる台詞だなと思いました。
インターステラー」を観たせいもあるかも。

 

うろ覚えだからDVDが出たら検証したいんですけど、ニールがカレンを思い出す描写、カレンの幻を見る描写は常に「ニール視点」じゃなかったですか?
髪の毛に触れる自分の指先だったり、床に座って遊んでるカレンの姿だったり。

それが最後の月面のシーンでは「カレンと一緒にいる自分」が見えている。

この辺りもちょっと何かを超越した現象だったり、単なる回想では済まない精神世界のように思えるよな~と…思いました。

 

その辺のことを考えると、「インターステラー」が出た時に

「この映画は『トランセンデンス』とも『LUCY』ともつながる」

と思ったのを思い出すし、「ファースト・マン」もつながるんじゃないかな…って気持ちになるんだよな…

陳腐な言い方でしか書けなくて申し訳ないんですけど、
インターステラー」のロマンチックなところが、「ファースト・マン」にも同じく流れているよね、という話です。

先の記事でノーラン監督の話す「人類」と「個人」、「開かれた出来事」を「内省的に映画化」といった部分が、もうそのまんま「インターステラー」との共通点になってるし…

 

逆に、「インターステラー」との違いは何かと言えば、もちろん史実を基にしているか否か。

上でも言いましたが、史実を基にしている以上、観客はアポロ計画の結末を知ってます。アポロ11号は月面着陸に成功し、ニールたちはみんな地球に帰ってくる。

だからクライマックスとは別に、どう幕を引くのかも気になってました。

月面着陸したところで「やったー! 大成功!」で終わるのか?
いやいやアポロ11号が発射されたところで「もう後は皆さんご存知ですよね…」として、史実の写真を流して終えるのか?
いやいやちゃんと月まで行って帰ってきた後、地球で大歓迎されるなんていう華々しいシーンを入れるのか…?

 

結果、チャゼル監督の選んだラストシーンは、私にとっては意外だった。
少なくとも、「アポロ計画にまつわる失敗と成功を描いた物語」と言われた時に想像し得るラストではなかった。

で、私が「チャゼル監督、ポルノグラフィティのリスナーだったのか…」と思ったのはそこなんですよ。
(※ここから正気を失います)

 

デイミアン・チャゼル監督とポルノグラフィティ新藤晴一が見たもの】

あなたも私も配給会社の担当者さんもご存知、ポルノグラフィティ「アポロ」ですけど。

人類を乗せて遥か彼方の月まで飛んでいった、テクノロジーの塊である宇宙船と、人類の歴史を一本貫く愛を同時に語る。
なんでそんなもん一緒に語るんだ…

この曲のサビ4行を思い出したのが、月面でカレンを想うシーンと、映画ラストでガラス越しに言葉もなく見つめ合うジャネットとニールのシーンでした。

 

極端な言い方すると「チャゼル監督と新藤晴一、月を見て同じことを思ったんだね……(涙)」って泣いた。

いやほんと、エンドロール入ってラストシーンの余韻に浸って泣きながら「チャゼル監督、『アポロ』の歌詞解釈めっちゃ合う~~~」って思ったからね。繰り返すが私は正気ではない。

だって一見、関係ないじゃないですか。アポロ11号とかいう宇宙船に乗ってとんでもなくリスキーな旅をして月に降り立つことと、すぐ隣にいる大切な人を愛することって。
全然関係ない。むしろ真逆にさえ見える人もいるかもしれない。

好きな人を置いて海外に行ってしまうことでさえ恋愛ドラマのクライマックスになるっていうのに、何で命懸けで月なんかに行くのか。
どんだけ離れてると思ってんの? 約38万kmだよ? 映画の中で黒板2枚使ってたでしょ?

 

でも、「ファースト・マン」でチャゼル監督はその2つを繋いでみせた。

どうして人は月まで行こうとしたのか。
空を見上げて月を見つめるニールのシーンは何度も出てくる。上方を見ているライアン・ゴズリングの瞳のアップは何度も映る。

空を見上げて月を見て、「本気で月に行こうって考え」ている。

 

いろーーんな失敗があって、いろんな犠牲を出して、いろんな危険を冒して、それでも最後、ついに人類は月面に降り立つ。

でもこの映画ではそうじゃない。ノーラン監督の視点を借りるなら、この映画では「ニール・アームストロングが」月面に降り立つ。

 

悲願の旅に成功して、未踏の地に降り立った彼が、誰にも言わず、誰にも知られずにしたこと。
このクライマックスで初めて、関係ないはずの「アポロ11号」と「愛のかたち」が結びついた。
それは、無事に帰ってきたニールに何も言葉が出ないジャネットと、カレンの弔いのことを語らずにただジャネットを見つめるニールが、ガラス越しに手を触れ合わせるラストシーンでも同じく綺麗に結びつく。

 

死ぬかもしれない危険と隣り合わせで、それでも全てを懸けて月に行くこと、

誰も到達したことのなかった月面で、二度と会えない娘を想いひとり涙を流すこと、

たったの3週間、ほんのガラス1枚で隔てられた愛しい人に、今触れて愛を伝えたいと願うことは、

全部同じことなのかもしれない。

 

というのが分かったところで作品は終わり、エンドロール。

もうこのエンドロールでずっと泣いてた。
そういう、そういうことだったのか、チャゼル監督がこの映画で言いたかったのはそのことだったのかーー!!!って泣いた。

本気で月に行こうって考えたんだろうね
なんだか愛の理想みたいだね

ずっと何百回も「アポロ」で聴いてたのに、映画が終わるまで気付きもしなかった…

 

【終わりに】

ところで、お月さまといえば、「どんなにきみがすきだかあててごらん」という絵本を思い出す人も多いのではなかろうか。

www.ehonnavi.net

ぼくがどんなにきみのことを好きか当ててみて! というやり取りをするチビウサギとデカウサギのお話ですが、「どのくらい好きか」を表すのにお月さまが出てきます。

何度も比べあったところで、もうチビウサギは眠くて何も思いつかなくなり、
「ぼく、おつきさまにとどくぐらい きみがすき」といって目をとじます。
デカウサギはチビウサギを木の葉のベッドに寝かせると、おやすみなさいのキスをして、
「ぼくは、きみのこと、おつきさままでいって・・・かえってくるぐらい、すきだよ」

インターステラー」のクーパーも、「ファースト・マン」のニールも、
大気圏の先のずっと向こうまで行って辿り着いた答えは、このデカウサギのたった一言だったのかもしれない。

月を見上げてアポロ11号に思いを馳せた、チャゼル監督と晴一さんも。

おしまい。