実写版「アラジン」(2019年)感想/ディズニープリンセスという価値の解体は進む

大好きなガイ・リッチー監督が実写版アラジン撮ったっていうんで見てきました。面白かった!!!

相変わらずアクションも画面の作り方も気持ちが良かった。
ネットで見かけたガイ・リッチー監督が起きてるところと寝てるところがある」っていう評の意味がちょっと分かって笑ったけど…笑

以下、「アラジン」(2019)ネタバレを含むので注意してお進みください。

 

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【はじめに】

今回も鑑賞済みの方向けに書くのであらすじとかキャストとかは省略します。

必要なリンクだけ貼っておきますね。

www.disney.co.jp

youtu.be

今回見てて一番おおっ!!と思ったのが、

「ディズニーによるディズニープリンセスという価値の解体、今度はこう来たか!!」

ってところだったんです。

塔の上のラプンツェル」以降、ディズニーによる上記の価値解体は特に顕著だなと思いますが、
今回のアラジンはまた新しい角度から行ったな!! と新鮮で驚きました。

たぶん本当に詳しい人がもっとちゃんと書いてると思うんですけど、
ディズニーにわかファンにもちゃんと刺さったよ~~というのを書き記しておこうかなと思ったので、記念に自分で書いておきます。箇条書きで。

ディズニープリンセスという価値の解体】

・どこでそう思ったかっていうと、「ジャスミン自らが国王になるところ」っていうよりは、
ざっくり言うと「今回の"ディズニープリンセス"=アラジン」っていうところで…

・「閉鎖的な場所で不自由さと共に暮らしている女の子が、善なる隣人に助けられながら、力や強い意志を持った男の人と愛をもって結ばれ幸せになる」 
というのが、「シンデレラ」とか「美女と野獣」で描かれてきた原始的なディズニープリンセスの姿だとすると、
今回アラジンの描かれ方はまさにそれだったと思うんだよね

・アニメ版のアラジンがジャスミンと結ばれるとき「愛する人も手に入れ、権力も手に入れる」という図が成立するんだけど、 
今回はジャスミンが国王だから、アラジンは別に国の最高権力を自分の手中に収めたわけじゃなくて… 

・ずっと「コソ泥」「ドブネズミ」と呼ばれてきたアラジンは現状からの脱却を望んでたけど、
「国王になって国で一番えらくなってやる! みんなを見返してやるんだ!」
という野心があるわけではない 

・架空の国の王子だっていう嘘を続けようとしてジーニーをがっかりさせた一瞬でさえ、あくまで「ジャスミンと結婚したい」っていうその一点で動いてるんだよなー 

 

・だから2019年実写版「アラジン」の、アラジンという人物のストーリーは、メインの軸がこの3つ
 1.不自由な生活からの脱却
 2.自分を助けてくれる善なる隣人との友情
 3.愛する人との恋の成就

・最後にアラジンが国王にならないというただその一点で、「国の権力者に成り上がる」の軸をしっかり消してるんだよね…

・というのが、最後のふたりの結婚式を見た時に急に分かった。あーーこれプリンセスの位置だったんだ!!!って 

 

・最後に幸せそうに笑うアラジンは、コソ泥だった自分が王族になれたから笑ってるんじゃなくて、
大好きなジャスミンと結婚できたから笑ってるんだなーっていうのが分かって、そこが好きだなと思ったんです 

 

・アニメ版が権力の話だっていう意味じゃなくてね!!!

・アニメ版もラブな話だしヒューマンドラマな話ですよ… 

・アラジンサクセスストーリー感とか、アラジン主人公感が失われちゃったのを残念に思う人もいるからな~ 

 

・でもほんとに、 
アナと雪の女王」で「王子様ではなく家族との"真実の愛"で幸福を手に入れるプリンセス」、 
「モアナと伝説の海」で「民のために海を渡り、友と一緒に戦って世界を救う女の子(プリンセスではなくヒーロー)」 
を描いてプリンセスの価値解体を進めてきたディズニーが、 実写版アラジンで

「アラジンをディズニープリンセスの位置に置く」

という解体方法を取って来るとは思わなくて、すごい新鮮で楽しかった。

・ラストで気付いた時のああー!!!感が忘れられないな… 

・多分「シュガーラッシュ」シリーズでもプリンセスの価値解体が行われてると思うんだけど、今のところ未履修なのでまた見たら書きます。

 

ジャスミンのこと】 

・「ジャスミンは一貫して自分の意思で、人の力を借りずに行動して夢を叶えてるから、アラジンいらないのでは?」とか、
ジャスミンがもともと意思のある成熟した女性なので、魔法のじゅうたんのシーンで一気に自由に目覚める感動はちょっと薄れたかも」という感想も見かけたけど、
私はディズニーのロマンチックなラブさがちゃんと残ってるな~と思った

私は売り物じゃねーんだよとド正論で突っぱねていたジャスミンにとって、
一番欲しいものっていうのはイケメンな王子でも金でも宝石でもジャム(笑)でもないし、
多分この時点では誰かからのアイラブユーでもなくて、 

「この国で暮らしている民の姿や自然の風景を思う存分目にすること」 

だったわけで、アラジンは見事に彼女の本質を見抜いて一番欲しいものをプレゼントした 

・そして彼女の夢を聞いて、

「僕の意見が必要?(君自身の意見があれば他の誰かの意見なんか必要ない)」

と一言添えられたアラジンは、きちんとジャスミンの心に花を贈ることができたのだ…ロマンチックでござる

 

・今回描かれたジャスミンという女性の新しさ、力強さについては、もうめちゃくちゃいろんなところでしっかり論じられてると思われるので割愛します
・この作品で一番泣けたのがお父さんとの和解のシーンだった。あのシーンは待ち望まれていたと思う

 

【その他、かわいかったところ】 

・ギフトの説明するのに
「えーとあとは…めっちゃおいしいジャムもあります…芋とかのジャム…これはめちゃおいしいジャムで…もうすごいおいしい…」
って説明するアラジンに一番笑った

・ジャムから離れろ

 

・アラジンの恋バナをきくジーニーの両手頬杖シーン、もうめっちゃジーニーと友達になりたいと思った…

ジーニーとアラジンの友情、アブーとアラジンの友情にもぐっと来たけど、
まさか最後はアブーとじゅうたんの美しき友情にすっ転ばされるとは…か、かわいすぎるでしょ

 

・ダンスのキレがよすぎるアラジンの中の人、何者なんだ…

・初めて見たけどすごく好きになった。操られてダンスする動きがうますぎる

 

・噂のジャスミンとダリアのコンビも最高にワンダフルでしたね

・ダリアの「よっしゃあああ!!!」のポーズに同調したり「早く行って来い!!」ってするジャスミン、めちゃいい友達で泣いた

ガイ・リッチーが女子校を撮れる監督だとは知らなかったよ。すげー女子校だったよあの空間

 

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ざっくりとした感想を無秩序に箇条書きしましたが、結論とても楽しかったです。吹き替え版も見てみたいな~。