久しぶりのMCUでの「新キャラメイン映画」だ~!!とテンション上がりながら割と早めに見に行きました。
既存キャラの続編映画ってそりゃ楽しいんだけど、まだ出会ったことのない、知らないキャラが新しい物語を始めるところに立ち会えるのもやっぱりいいよね。
ネタバレにならない範囲で言うと、
「単純にアジア人が画面の8割占めてるだけでこんな身近に感じられるものなんだな…」
とびっくりした。
自分に似てるってだけで今までのMCUで一番「おお、身近なヒーローだ」と感じたな。不思議だ…。
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【はじめに】
今回も鑑賞済みの方向けに書くのであらすじとかキャストとかは省略します。
必要なリンクだけ貼っておきますね。
以下はネタバレを含みます。
途中に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2」の悪役が誰なのかと、
「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」のネタバレも出てくるのでご注意ください。
GotG2のほうはMCU見てる人はだいたい履修してるだろうからはっきり書いちゃうけど、
KUBOのほうはうす~い文字で書いておきますので、読みたくない人は薄目でさーっと飛ばしてください。
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いきなり言うけど話としては相対的にエゴへの殺意が募りました。
【主人公シャン・チー】
・シム・リウめちゃアクションかっこいい!!強い!!
・すでに修行済みで話の最初から強い主人公が大好きです(ex.鋼の錬金術師)
・あと「過去の夢を見て目を覚ます半裸のアジア人の主人公」、1995年版モータルコンバットと共通点でしたね
・なんでもかんでも1995年版モータルコンバットの話につなげる女
【アクションシーン】
・バス内アクションがすさまじくよかった
・「この人見てよ喧嘩しそうに見える!?」って言われたのにめちゃ強い主人公、
オタクは何歳になってもこういう展開が大好きなんだ…
・ケイティにとってショーンは、
「高校の時いじめられそうになってた」
「車を借りて悪さするのをとがめてくる」
ような、まじめで気の弱い男友達なんだもんね
・まさか殺人術を仕込まれたスーパー格闘マンだとは思わないね
【母の仇を殺したか】
・前半で「母の仇は殺さなかった」と一度回答しながら「本当は殺した」と後半で明かされるけど、
あれよく考えたら高層ビルでの闘いが伏線になってるんだね
・明確には描かれてないけど恐らくあの闘いで死人は出てるし
・不殺を貫くヒーローならあの不利すぎる状況でも、
何としてでも殺さないように全員の足にロープを巻きつけて突き落としてまとめてぶら下げるなり(※1)するだろうけど、
シャンはそうしなかった
・もちろん積極的に殺しはしてないから、トドメ刺さなかったところをシャーリンから
「アメリカで腑抜けたの?」
って突っ込まれてるんだけど、
シャーリンが来る前にシャンは結構ためらいなく敵を落としてた気がする
・父に殺しの技術を叩き込まれたけど、実際にはまだ人殺しをしたことがないヒーローなら、
あの場で人を殺さないように気を配るか、せめて敵を落とした時に
「うわっ、本当に殺してしまった」
というリアクションが描かれるはず
・あの場でのシャンはスマブラDXでいう「ミスから目を逸らす」(※2)が素で出来てるので、その時点で
「すでにシャンは殺しを経験済みなのでは?」
と予測できるんだな
・じゃあいつ経験したのか?
・シャンは初めての仕事が母の仇討ちで、その仕事以降は父から離れたわけだから、
素直に考えればほぼここで答えは出せるようになってたんだな…
・見てる間さっぱり気付かなかったけど…
※1 クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト」
※2 ミスから目を逸らす:対戦相手が場外KOされたときそっぽを向いていること。場外に吹っ飛んだ相手が復帰してくる可能性に備えて待機するのではなく、もう復帰してこないと確信して別の方を向いている…という姿勢。スマブラDXのボーナス加点対象
【どうでもいいつぶやき】
・「羅小黒戦記」を履修していたおかげで「清明節」が何のことなのかぱっと分かったのも助かった
・どうでもいいけど仮面の師匠見てゴールデンボンバーを思いだした日本人は私だけじゃないはずなんだよ
・絶対その感想いっぱいあると思ったらまだ見かけてないけど
【エゴへの殺意】
・何度も言ってるように私の「MCUこいつ絶対ぶっ殺すランキング」堂々のワースト1位がエゴなんですけど
(ただし時と場合によってサノスが同率1位)
・今回のメインヴィラン、ウェンウーがまあ出だしから成り上がり野郎で富と名声と権力のために自分以外のすべてを薙ぎ払って力でねじ伏せて征服してきたというので、効率的にヘイトをためてくれたんですけど
・そんで龍の村の女性と出会って恋に落ちて…というので、
はいはい運命の女性に出会ったんですね~とか思ってたんですけど
・でも彼は一応彼なりに、ほんとにイン・リーのことを愛してるんだな…というのが伝わったので
・「魔物の声が、一番の望みをかなえてやると」のところで、
あんなに富と名声と権力に取りつかれてた男が、そうじゃなくてただ愛する人を取り戻せるというのが「一番の望み」なんだなというのがね…
・ただウェンウーがかわいそうなやつって言ってんじゃなくて、単に「こいつは少なくとも妻を本当に愛してたんだな」という一点を認めただけです。
作中でも示されているように、奥さんを愛するだけじゃなくて娘息子と向き合えやという話なので
・私が言いたいのは
「千年生きて暴虐の限りを尽くしたウェンウーですらイン・リーのことを心から愛したってのにテメーはマジで何なんだよエゴ!!!!!」
ってことなので本当に
・なんでシャン・チー見ながらエゴへの殺意を募らせてんだよ
【シャーリン】
・妹のシャーリンよかった。かなり好きなタイプ
・父親の長い話が始まったときの「出、出~~~……」みたいなウンザリ顔好きすぎ
・アジトから車で脱出するときも車の窓から身を乗り出して戦うとこかなり好戦的でよかった
・最後の「仕事は山積み」ってボス顔でふんぞり返るところもすげー好き。このあとどうなるんだろ?
・完全にヴィラン堕ちって感じもしなかったから、ロキちゃんみたいにある時は敵、ある時は味方って感じで動いてくれるんだろうか。楽しみ
・MCUって兄弟、姉妹のイメージ強くて、あんまり兄妹のイメージなかったのでちょっと新鮮だった。マキシモフ兄妹くらいじゃなかったっけ?
・ドラゴンを乗りこなすのがシャンだけじゃなくてシャーリンも普通に乗れるのがよかったですね
・私はドラゴンクエスト大好きなんですけど、ドラクエ5とかは兄妹で兄しか勇者の剣使えなかったりするとこあんまり好きじゃないので…
おおドラクエよ 次回作では頼むぞ
【悪しき父を倒す/乗り越える】
・MCU伝統芸ではあるんだけど、その父を倒すのに「母から受け継いだ武術で」っていうのが初めてだったんじゃなかろうか?
・悪しき父と善なる母、という構図は同じなんだけど、父を打ち倒す直接の手段は母の戦い方であるというのが面白かった
・拳を握りしめて柱を殴って血をにじませて、ずっと「グーで戦う」父親の教えにとらわれていたシャンが、
叔母の導きに従って母の戦い方=指を自由にし、片足で円を描くあの構えをしたとき、
ウェンウーがはっとした顔になるのが一番の見せ場だったなと思う
・シャンのキャラクター造形も陰陽を踏まえててよかったな…
悪の父の血も善の母の血も両方を心身にもつ、どちらかを捨てることはできない
・ただただまぶしいほどの正しいヒーローじゃなくて、人を殺す側面も持ち、妹を見捨てた過去を持ち、でも「今度はそうしない」と自ら選び取って力を使う人
・死んでしまった母の声がすると信じて暴走する父に、シャンが
「本当にそうだったらよかったのに」
っていうところが、シャン・チーという人の非情になり切れない優しさ、心の中ではずっと悲しんでいた感情が出てていいなと思った
・台詞としても美しくて悲しい。作中で一番好きな台詞。
パラドックスを抱える台詞というのが大好きなんですけど、これも美しいパラドックスの台詞だったな…
【男女の友情】
・シャンとケイティの友情めちゃよかった~……
・高校からの友達で仕事まで一緒で休みには飲みに行って、
でも二人で夜を明かすといえばカラオケ!!なのがほんとサイコー
・MCUでも初なんじゃないだろうか、こんくらい普通の男女友達…
・ナターシャとクリント、フューリー長官とキャロルも男女の友情だなと思うんだけど、
ナターシャとクリントはちょっとロマンスの香りや家族っぽさみたいなのもあって、
こういう「ダチ!!」って感じとはまた違う魅力があるんだよね
・「互いにほかに恋愛相手がいない状態で、恋愛ではない最高の信頼関係を築く男女」と言えばいいのかな。
フューリー長官とキャロルが当時「MCUで一番ぐっときた男女の友情だな」と感じたのもこのせいだと思う
・最後に死者を悼むとき二人で寄り添ってたり、ウォンに呼ばれてゲートをくぐるとき腕を組んでたりするあたりで「おや、恋愛関係になったのかな?」ともとれるんだけど、
私はどっちでもうれしいタイプの客なのでどっちでも喜んじゃいま~す
・たぶん恋愛関係になったとしても、あのオチを見る限りだいたい今までと変わらずカラオケオールしてそうじゃんあの二人…
【もふもふ生物たち】
・あとモーリスちゃん!!!!
・モーリスちゃんがかわいすぎて抱きしめに行きたくなった モーリスちゃんと触れ合えるテーマパークはどこですか?
・「顔はどこ!?」「ちょっと!それはセンシティブな話題だぞ」
のとこ笑った。気にしてるんだねごめんねモーリスちゃん…!!
・ター・ローの村についてから出てくる不思議生物たち、九尾の狐を思わせる造形とか、中国の絵巻物に出てきそうな感じの外見ではあるんだけど、今一歩まだ西洋っぽさがあるな~となんとなく感じた
・たとえばチャウ・シンチーの「西遊記」で出てくる妖怪って、えぐくて怖いんだけど
「あーーこれ絵巻物から直接出てきたみたい!!」
って思うデザインなんだよね。何が違うんだろう…
・それはそれとしてあの村の不思議生物たちとてもかわいかった
・あと感想読んでたら
「絶対ファンタビとのクロスオーバーあるでしょ」
「自力でボロボロになりながら根性でたどり着くスキャマンダー先生いるでしょ」
って言われてて笑った
・行ってそう~~~かなり力業ごり押しで行ってそう
・あと「渾沌」といえば漫画「千年狐」の使者ちゃんもかわいいよね、ということで落書きもした
モーリスちゃんにメロメロになったみんな!「千年狐」も読もう!
【KUBOとシャン・チー】
※KUBOのネタバレなので未見の人は飛ばしてください※
・終盤、母(両親)の死を引き起こした自分の父(祖父)を自分の手で殺す、と決意して対峙するも、
結局殺すのを思い留まるというのが共通してて、KUBOをまた見返したくなった…
・KUBOは不殺を貫いて、シャン・チーは人を殺したことがあるという違いはあれど、水の中から帰ってきたシャン・チーが
「父さん、俺たち家族はあなたを必要としてるんだよ」
って悲しそうな、よるべない息子の表情で言うところが切なくてKUBOを思い出したのだった…
・KUBO、せつないお話だったよね…でも希望のあるお話でもあった。好きだな…結局劇場で一回見たきりだからまた見返したい
・最後に死者の弔いで、両親を思いながら灯りを川に流すところも共通してた
※KUBOのネタバレおわり※
【アジア人のヒーロー】
・最後にウォンに呼ばれてゲートをくぐるときの、
「今までわき役だったはずのアジア人が主役になってて、それを呆然と見つめる人々」
って構図、ねらって作ってるのがちゃんとわかってよかった
・こうしてみると本当に、今までMCUでアジア人まじでメインにならんかったな…
というのがわかって、自分でどんだけその辺のこと意識してなかったのかちょっとぞっとしたりもしたけど
というわけで「シャン・チー」の感想でした。
シャンのキャラクターが結構好きなので、これからまた続きが楽しみだな~!!